このレビューはネタバレを含みます
~償いたいという気持ち~
社会問題を鋭くえぐるダルデンヌ兄弟監督。今回は移民問題を契機としています。彼らは来日インタビューの中で、ジェニーが扉を開けないのは欧州が移民に対して扉を開けないのと同じ、と言っていました。この作品ではここからそのことに対して償いたいと願う人間の存在を描きました。それはそのまま、そうあって欲しいという彼らの希望なのだと思います。
ジェニーは少女に償いたいという気持ちから、大病院での就職を断り診療所を継ぎ、彼女の死の真相を知るべく情報を集め始めます。
診療しながら少女のことを聞くうちに、ジェニーの真剣な思いに患者たちが影響を受け始め、協力し始めるようになります。その結果、知った事実とは……
BGMもなく、終始感情を抑制した演技で、淡々とした印象なのですが、その分見ている側の感覚も研ぎ澄まされて、ハラハラドキドキでした。
そして最後、ジェニーが心の重荷を少し下ろせた時、大きな安堵感を覚えました。