えちぜん

午後8時の訪問者のえちぜんのレビュー・感想・評価

午後8時の訪問者(2016年製作の映画)
4.7
ダルデンヌ兄弟はほとんど鑑賞していて、最初に「ロルナの祈り」をみて、その地味さとブツ切りな終わり方に「?」となったが、以後は段々とダルデンヌ中毒患者となっていったワタス( ̄▽ ̄)そして前作「サンドラの週末」からはややサスペンス志向で「闘う女性」に寄せてきているなぁと。

ダルデンヌが描く闘う女性とは、決してスーパーウーマンではなく、むしろ重い現実に苦悩している普通の女性だ。本作のジェニー医も部下の指導や患者とのトラブルなど色々と悩みを抱えながら、喜怒哀楽のある「不完全」な人間。患者への接し方もどちらかといえば無愛想で、その器用とは言えないキャラに観ていて軽い苛立ちも覚える。しかし医師として「人を救う」という使命感は人一倍強く、それが「ドアを開けなかった」という後悔の念からも彼女を猛烈な捜査に駆り立てる。

別作では「4ヶ月、3週と2日」とかもですが、孤独に闘う女性をひたすら追い続けるジャンルってのが大好きなんです🎵作品では終始厳しい状況が取り巻くけれど、その中でトマトを切るシーンとか、ほんの少しの好転が描かれる瞬間とか、ラストの「日常」な描写もグッとくる。

問題の発起点である「ドアを開けない」のシーンもちょいと気を抜いたら見逃してしまいそうなくらいあっさりの描き方で、ダルデンヌはいつもこうやって淡白な描写だけど、ハリウッド映画が「目覚ましテレビ」とか民放系なら、こちらはNHKニュースというか、「余計なものをそぎ落としたらこうなりますよ」的な( ͡° ͜ʖ ͡°)そこが好き。
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