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愛を綴る女のkanaco4月末までお休み中のレビュー・感想・評価

愛を綴る女(2016年製作の映画)
3.3
ベストセラー恋愛小説『祖母の手帖』の実写映画化。長閑で寂れたフランスの田舎の風景や苦く重い恋愛模様の雰囲気とマッチしたピアノやヴァイオリンの旋律が、物悲しくも美しい雰囲気を構成して余韻を響き渡せる【愛と不倫の物語】かなぁ🤔チャイコフスキーの〈舟歌〉が印象的。意外と展開に捻りも?(140文字)

****以下ネタバレあり&乱雑文****

◆あらすじ◆
1950年代の南仏プロヴァンス地方の田舎町。ガブリエルは運命の恋を熱望している美しい娘だが、ある日片思いに破れて騒動を起こしてしまう。自由奔放で夢見がち、さらに精神的に不安定なところがあるガブリエルを見かねた母は、彼女を真面目な季節労働者のジョゼと結婚させた。不本意な結婚によりガブリエルはジョゼに「絶対に愛さない」と宣言。またジョゼも「俺も愛していない」と告げる。そんな愛のない夫婦生活を続ける中、ガブリエルは腎結石を患い1人で6週間の温泉療養へ向かうことになった。そして、そこで療養中の若い将校アンドレと運命的な出会いを果たすが…。

❶イタリアの作家のベストセラー恋愛小説『祖母の手帖』の実写映画化

私は存じないのだが、イタリアの作家ミレーナ・アグスのベストセラー恋愛小説『祖母の手帖』が原作だそう。長閑で寂れたフランスの田舎の風景や、苦く重い恋愛模様の雰囲気とマッチしたバック音楽のピアノやヴァイオリンの旋律が、物悲しくも美しい雰囲気を構成して余韻を響き渡せる【愛と不倫の物語】…という感じ。

「不倫モノ」の中でもキラキラとした恋物語では決してなく、逆にドロドロとした血を見るような愛憎劇という路線でもない。〈不倫〉という俗なテーマを、主人公の美しさに加えてフランス映画らしい静けさと品を醸し出すことで、毒っぽさを耽美にフォローしているように思う。でも常に淡々としているので苦手な人は苦手かもしれない🤔

妻、夫、息子、不倫相手の間をつなぐ鍵として〈ピアノ〉が一つの鍵になっているが、劇中に何度も流れるチャイコフスキーの〈舟歌〉は特に印象的。〈舟歌〉はチャイコフスキーがロシアの季節ごとの情景をモチーフとして作曲した12つのピアノ曲集のうちの『6月』に該当するが、哀愁が漂いながらも穏やかに揺れる波のような旋律が、フランスが舞台のこの作品にもベストマッチだった🎹

❷運命の恋愛を夢見る奔放な女の【愛と不倫の物語】だけど…?

マリオン・コティヤールが演じる美しい娘ガブリエルは、気性と妄想が激しく恋愛に強い運命を信じる女。恋愛至上主義というかあまりにも妄想が行き過ぎて「イタさ」を感じる。そんな彼女の恋愛模様を追っていくことになるが、意外にもちょっと捻りのある結末が用意されている。タイトルは『愛を綴る女』であるも、狂おしいまでに不倫にのめりこむ〈その女〉が綴る愛は空虚だが「君に生きて欲しくて」という〈その男〉の言葉は誠実さを感じた。

📖✍🐝「私はチャイコフスキーの〈舟歌〉が好きなので音楽を聴いているだけでも美しい余韻の雰囲気に浸れましたが、物語そのものはちょっとローテンションで少々退屈な感じでした😂まぁ、私は恋愛映画が苦手なので…(笑)原作が恋愛小説ということで、その手のラブロマンス小説感はちゃんと出ている気がしますので、このジャンルがお好きな方には向いているかもしれません」