キリコ

わたしは、ダニエル・ブレイクのキリコのネタバレレビュー・内容・結末

4.3

このレビューはネタバレを含みます

パルム・ドール受賞作だったので鑑賞。最初から引き込まれた。そして開始40分くらいで重苦しい雰囲気に耐えられなくなった。

医療専門家との噛み合わない会話。貧困への無理解。繰り返される役所での口論。ストレスで息が詰まりそうになる。フードバンクのシーンはただただ悲しい。壁の落書きはまさに「近くで見れば悲劇、遠くから見れば喜劇」。閑散とした葬式に集まった喪服の買えない人々。苦し。
誰か彼らを、私たちを助けてくれ〜と思った。

作中の世界(そして現実の世界)は決して悪人だらけな訳ではなく、むしろそこそこの善人が一定数存在し、困っている人がいたらそれなりに手を差し伸べようとする。市役所の優しい方の職員やフードバンクの人は涙が出るほど親切な超善人だし、怪しい稼ぎ方をしている隣人や万引きを見逃してくれた店長やダニエルに人工呼吸までしてくれた人もおそらく普通よりちょっといい人だ。しかし、所詮他人だから「それなり」以上には助けてくれない、そこが問題である、というメッセージを感じた。
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