ほおづき

わたしは、ダニエル・ブレイクのほおづきのレビュー・感想・評価

4.0
体調を崩し失業してしまった初老の主人公が、社会の仕組みに乗れきれずに翻弄される様を描いた映画。
融通が利かなくて杓子定規な対応の公務員のお役所仕事っぷりがあまりに酷過ぎてイライラさせられた。

その反面、補助を受ける側もそれなりの学習をしてもらわないと対応に困る行政の人たちも描かれる。
ダニエル・ブレイクみたいな民度が高く物わかりのいい人たちだけを対応しているわけではない。考えられないような理不尽な人たちもいるだろうと思う。
なんだかんだ言いつつも役所の人たちも生活のために働いているわけで慈善事業ではない。全ての人に丁寧な対応をしていたら時間と人が足りない。 
   
さらに、そのお金や補助金なんかは税金から支払われるわけで・・・あんまり行政の仕組みとか政治とかわかってないんだけど、何不自由なく健康に働ける人たちをうまいこと騙してw少しずつ集めた税金があってこそ、社会的弱者がそこまでひどくならない生活ができる水準を保てているような気がする。
その水準を上げるべきだとか、サービスをもっと丁寧にしろという主張は、税金を上げろと言ってるようなものだと思う。
国がその収支のバランスをうまくコントロールできているかそうでないか・・・

イギリスってほんとにこんな状況なのか? 
それとも映画だからおおげさにやってるのだろうか?
こんなたらいまわしにされてしまう状況では救える人も救えないでしょという憤りは伝わってきたが、日本も少し似ているところはあるなぁとは思う。それでも、まだここまでの状況にはなっていないのは、国民のリテラシーが高いからなんじゃないかと思った。
   
正直あんまり現実を知らないし、今は健康で五体満足に生活ができてしまっているから少し他人事で観てしまったが、何がなんでも国のせいにするのではなく自分はダニエル・ブレイクにならないように努力していくことも大切なのかもしれないと感じてしまった。