ひこくろ

わたしは、ダニエル・ブレイクのひこくろのレビュー・感想・評価

4.5
普段、気づかないでいるだけで、こういう社会的貧困の問題は現実に間違いなく存在する。
その問題はあまりにも切実で、重く、だからこそ、その現実を前にしては言葉を失うしかない。
仕事がしたくてもできない人。支援を受けたくても受けられない人。
そういう人たちにとって、現実はあまりにも残酷だ。
社会は決して弱者を救ってはくれない。

知らないうちに誰もが上から目線の「社会の一部」になっているんだとも思う。
生理の貧困の問題を聞いても「そこまでしてあげる必要がある?」と考えてしまう。
オンライン化した手続きに戸惑う、口うるさく頑固なダニエルのような老人を「老害」と切り捨ててしまう。
自分を振り返るとそうなのだ。でも、それは問題を他人事としてしか見ていないってことでしかない。
人は誇りを捨てたら生きていけない。でも、誇りを捨てないと生きていけない現実がある。
そういうことに目を向けないでいる自分が、とても恥ずかしくなった。
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