おなべ

わたしは、ダニエル・ブレイクのおなべのレビュー・感想・評価

3.6
第69回カンヌ国際映画祭でパルムドール賞を受賞した作品。イギリスを舞台に複雑な社会制度に苦しめられる高齢英国紳士と2人の子を持つシングルマザーに焦点を当て、様々な苦悩を抱えながらも必至で生きていく様をリアルに描かれている。他の方も述べられているように限りなくリアリティを追求した起伏をつけない演出を採用している。

●あらすじは割愛

全体を通して感じた事は、貧しい高齢者までも容赦しない厳しい社会制度。まるでどんなに綺麗事を並べても結局“金”が全てなんだと言われてる感覚。現実に直面させられる、社会から除外されていく感覚をしみじみと感じた。

本当の意味で強い人とは、自分の事で精一杯な筈なのに他人に手を差し伸べてくれるような人。それは、人生経験を積み、決して豊かとは言えない生活を送っていた主人公ダニエルだからこそだと思う。










【ここから少しネタバレ】









ダニエルが壁にスプレーで落書きをするシーンと、ダニエルの葬儀で手紙を読むシーンはダニエルの〔社会〕に対する抵抗を感じられて感銘を受けました。
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