素晴らしい映画だった。
そして忘れられない映画にもなった。
怖いのは、役所や役人が悪いとか、
社会制度が悪いとか国が悪いとか、
それだけで捉えてしまうことだ。
例えば今日、会社の上司や部下に
敬意を払っていただろうか?
外食した店で、カラになった
グラスに水を入れてくれた
ウェイトレスさんにお礼を
言っただろうか?
電車で落としたハンカチや手袋を
拾ってくれたサラリーマンに
相手が聞こえる声で感謝の言葉を
口にしただろうか?
そりゃ、なかなか繋がらない
カスタマーサポートには
腹が立つし、嫌がらせとしか
思えない数字を打ち込む
荷物の再配達にはげんなりするし、
電話先で、たくさん話した後、
担当が変わって、また一から
話さなきゃいけない時は、
殺意さえ覚える。
敬意を払う。
そんなシンプルなことが
僕らに出来ているんだろうか?
僕らはそんなに立派なんだろうか?
僕には自信がない。
この社会が悪いと言うのなら、
僕も社会の一部なのだから。
だから打ちのめされるんだ。