NOOO000ooo

わたしは、ダニエル・ブレイクのNOOO000oooのレビュー・感想・評価

4.0
イランの名作「運動靴と赤い金魚」にもあったけど、子供の靴が壊れて友達に馬鹿にされた。親としては子供に惨めな思いをさせるのは心苦しくて、でも貧しくてそれを買うお金がなく、子供もそれを充分理解していて、親としては自分の不甲斐なさが辛いし、子供が我儘言える子供でいられないのも悲しい。。。どうやらこんな心象に僕は(おそらく多くの方が)弱いようです。

でも、それって誰かとの比較から生まれる劣等感や優越感であって、みんなの靴も自分のと同様に破けた部分をボンドで貼った古い靴だったら気にならないわけだし、イランでもイギリスでも日本でも同じような劣等感や優越感が存在するのを目撃すると、これは国の豊かさや平均所得やビックマックの値段のような指標からくる話でなく、資本主義社会の「これから」を問うお話といえるかもしれません。なんだか時代は「みんなで揃ってボロい靴履きましょう」みたいな社会主義的な価値観に急速にシフトしてる気がするし、もしかしたら誰かとの比較が否応なく生まれる貧富の差の大きい社会より、みんなが新しい靴を買えない比較の存在しない貧しい環境の方が人は心穏やかに笑顔で過ごせるものなのかもしれません。

つまり、多くの人は勝手に知らない誰かと自分を比較して、自分が想像の中で勝手に作り上げた劣等感で、あるいは実体のない優越感で精神を病んでみたりするのだろうけど、ダニエルは、誰に媚るわけでなく、自分の基準で生きて、間違っていると思えばそう訴え、知らない誰かに手を差し伸べ、そして自分自身で尊厳を保つという生き方を見せてくれます。精神を病む時は、お金が底をつく時でも仕事がない時でもなく、自分で尊厳を保てなくなった時なのかもしれません。ついでに、映画のレビューってこういうこと書くんだっけ?みたいにたまにわからなくなるのだけどそれも誰かとの比較からくるのだろう。