ルッキオ

わたしは、ダニエル・ブレイクのルッキオのレビュー・感想・評価

4.2
地域格差、緊縮財政、寝室税、フードバンク。

イギリスの社会情勢を色濃く投影した作品ではあるけど、人情に厚いダニエルと都会から来た親子の人情モノとしてとても胸が熱くなる作品でした。
人に無関心だったり冷たかったりはどこの国でもあることだけど、だからこそ普遍的で訴えるものがあるのかも。
自分もリーマンショックで派遣切りと職安通いの経験をした身なので、彼らの恐怖の万分の一ぐらいは実感の湧く話だったりします。

国は国民の暮らしを保証しないけど、大工たちは彼らの住処を職場を作る職人。
ブレイクの職業が大工なのがとっても皮肉に満ち溢れてると思う。

年長者だからと言って若者に不遜な態度はとらない。
そして社会の理不尽にぶちあたっても冷静な対処をみせるブレイク。
我慢の限界まではルールに従う、至って理性的な行動。
実際自分の身に同じことが起きて、こんなに冷静でいられるだろうか。

人に対する冷たさを怒りに換えるのではなく、人へのやさしさに換える。
それは同情ではあるんだけど、彼が死の恐怖や行政への怒りを抑えられたのは、彼よりも下を見てしまったからだろう。
最低限の住みか、でもギリギリのライフライン。
ニューカッスルは南部に比べて人情味ある土地柄らしく、見ず知らずの彼女たちを家族同様に扱う浪花節的ストーリーは古臭くもあるけど、今の自分にはとっても刺さる映画でした。