TakashiNishimura

わたしは、ダニエル・ブレイクのTakashiNishimuraのレビュー・感想・評価

4.2
てっきり「わたしは、ダニエル・クレイグ」という「デブラ・ウィンガーを探して」みたいな業界ドキュメンタリーかと勘違いし、公開時に鑑賞を見送ったが、後に全然違う内容のドラマでしかも評判が高いと知って地団駄踏んだ作品。

それはともかく、これはもはやイギリスに限った話ではない。社会福祉に限った話でもない。社会的弱者に限った話でもない。アメリカでも日本でも起こりうるし、教育分野にも労働分野にも起こりうるし、誰にでも起こりうるヤバい話だ。

そもそも「制度」は個別対応してくれない。「制度」と対面することは出来ないし、「制度」は相談に乗ってくれないし、「制度」の意見を聞くことは出来ないし、「制度」は問いかけに答えてくれないし、「制度」は察してくれないし、「制度」は慰めてくれない。だから「制度」と「制度によって恩恵を受ける人」とのインターフェイスが重要になる。だが、本来は人間であったはずのインターフェイスは、今や電話に置き換わり書類に置き換わりウェブに置き換わりメール置き換わっている。わずかに残った人間のインターフェイスも、どんどん「制度」のロボットになっている。その結果、「制度」が無くても得られたはずの生活の糧が、「制度」があることによって阻まれる。「制度」によって生かされるハズだった者が、「制度」によって殺される。とんでもない逆転現象。なんと怖ろしいハナシであることか。

映画の内容をなぞっただけで、何の評論にも意見にもなっていないが、それほど剛速球なメッセージを持った作品。