えりみ

わたしは、ダニエル・ブレイクのえりみのレビュー・感想・評価

4.9
WOWOW録画。
英国映画好きです、ケン・ローチ監督も好き…ん?
これまでに3本しかみてないわ😅
本作はケン・ローチ監督が引退宣言を撤回して作り上げた映画とか。
「天使の分け前」的なのが良かったのだが「この自由な世界で…」寄りの作品で、
その上涙無しにはみられないバッドエンド😭
バッドエンドを予感させるクライマックスがもう切なすぎて「あぁぁやめてくれぇぇ」と思いながらみるの辛過ぎる😫😭😭
出てくるのは主に三者
・40年間真面目に税金を払い大工として生きてきた59歳のやもめダニエル
・中国に友達がいる(ネット社会)顔の広いアフリカ系移民の隣人
・2010年~2016年キャメロン政権の超緊縮財政政策のひとつである「寝室税」(寝室に税金がかかるという事ではなく、低所得者向けの住宅手当削減を意味するらしい)のせいでロンドンから引っ越してきた子供2人を抱えるシングルマザーのケイティ

劇中で描かれる「お役所仕事」。
税金で賄われる公共福祉だからこそ厳格に運用されるべきで、
公務員個人が融通をきかせてしまえば規則が形骸化してシステムが崩壊する。
杓子定規な対応や頑なに例外を認めないのは、
公平性を保ち少ない人数で運営する為には仕方のない事で万人に優しいシステムはコストがかかる👛。
頭ではわかっちゃぁいるが…😧

寝室税も、余分な部屋がある住宅をもっと恵まれない家族に譲ってほしいというのが政府の言い分らしい🙄
申請方法が煩雑であっても
何種類も給付金制度があることは
元々イギリスが福祉国家であったことの名残りだと思う。
ウェブでしか申請が行えないのは
これも緊縮財政政策による公務員の人員削減と
ベースアップ据え置きの弊害であろう。
一族郎党生まれてこのかた一度も働いた事が無い!
と豪語するイギリス人家族の不正受給問題を取り上げたTV番組を見た事がある📺
シロートの下らない問診に
「うんこビチビチやねん💩」て答えときゃぁ医者の診断書が無くても支給資格取れるんやから
ホンマ「正直者が馬鹿を見る」世界。
「情けは人の為ならず」を間違った解釈してる人❗
この映画で本来の意味を知って下さい😤

移民にこれ以上我々の税金を使うのは嫌だとユーロを離脱した英国の公務員が納税者を助けず、隣人の移民が彼を気遣う皮肉。
自分の身の回りの40〜50代の先輩にもPCが使えない人がいるし、
マウスをClickするだけの作業で
「まさかこの仕事でパソコン使うとは思わなかった😱」
言うて辞めていった人を見たこともある。

正直、私が20ソコソコの頃
「死ぬ迄Macなんか使わへんわっ!」
と新入社員研修で嘯いてたので身につまされる😰
(あの時叱り飛ばしてくれた先輩方有難うございます🙏)

ケイティがフードバンクで缶詰を貪り食う姿はその切迫さと母の愛情に号泣😭😭😭
身体売ってでも子供を養おうとする女の覚悟を、
わざわざ客として訪れて止めさせようとするダニエルのKYには閉口😑
この辺は世代というかなんちゅうか、
矜持で飯は食えないって思っちゃう現実派の私。
たかが金のことで人としての尊厳を傷つけられるくらいなら、
犯罪行為で稼いだ方がマシやと思ってしまう😛
まあこれは極個人的な意見で、
左派のケンローチ監督は「この映画の目的はアジテートである」と仰っているので、
壁の落書きシーンがこの映画の全てである。
決して犯罪や不正、
万引きの見逃し、
貧困ビジネス、
工場横流しを推奨しているわけではない。

参考記事:財政赤字を本気で削減するとこうなる、弱者切り捨ての凄まじさ
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/05/post-5159_1.php
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