やま

わたしは、ダニエル・ブレイクのやまのレビュー・感想・評価

3.7
ケンローチ監督作品。

この監督の作品のイメージは地味に淡々と進んでいく映画という感じがするのだけど、今作はその監督の手法が物語にマッチしていた印象。

役所でのやりとりの連続はリアル。日本でも長々と待たされて、「また行くのかよ」と思わず言いそうになってしまうことがある。そんなことがイギリスでも起こっている。それが分かる。

ただ歩いてるシーンやただ役所に入るシーンなんかも省略されず長々と映し出され、役所の中でのやり取りも、比較的長回しで撮影されてた印象。それにより何度も重い腰を上げ、歩かされている主人公の様子が上手く表現されてる。

シングルマザーの彼女も悲惨。
どういった経緯で父親が去ったかわからないが(聞き逃したかも)、女手一つで自由奔放な息子と学校に通う娘を育てる苦労さがひしひしと伝わる。そんな彼女への支援も国は施さない。万引きシーンは何とも言えない悲しさ。

こういった映画は面白いとは思わないが、世の中に溢れる問題を今一度考えさせられる秀作だと思います。
やま

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