sensatism

わたしは、ダニエル・ブレイクのsensatismのレビュー・感想・評価

3.5
2020/76
イギリス文学の講義を受講していた際に先生が「日本なんかよりももっと酷い格差社会だ」とのようにイギリスを評価していたのを思い出した。
その時はあまりピンと来なかったがこの映画を観る限り明日の食糧もままならないひとたちが一定数いるということを知った。

『しあわせの隠れ場所』は富豪が弱者に手を差し伸べる映画だったがそんなファンタジーは描かれない。本当の"the blind side"が描かれていたのはどっち?
弱者は弱者同士助け合う。同じ経験をした者にしか人生を想像することはできない。
本来弱者に手を差し伸べるべきなのは富豪でも貧しい隣人でもましてや市役所でもない。国家だ。しかし国の姿は雲隠れする。
政府は上にあるべきではない、市民の下にいるべきだ。

シングルマザーの女性がこっそりと盗み食いをする姿を忘れてはいけない。手掴みで食料を口まで運び、その後我に帰って泣いていた姿を。"健康で文化的な最低限の生活"を等しく全員に。最低限を下回るとどうなるか、私たちは目撃した。目撃した義務を果たさねばならない。
sensatism

sensatism