わたしは、ダニエル・ブレイクの作品情報・感想・評価

わたしは、ダニエル・ブレイク2016年製作の映画)

I, Daniel Blake

上映日:2017年03月18日

製作国:

上映時間:100分

4.0

あらすじ

イギリス北東部ニューカッスルで大工として働く59歳のダニエル・ブレイクは、心臓の病を患い医者から仕事を止められる。国の援助を受けようとするダニエルだったが、複雑な制度が立ちふさがり必要な援助を受けることが出来ない。悪戦苦闘するダニエルだったが、シングルマザーのケイティと二人の子供の家族を助けたことから、交流が生まれる。貧しいなかでも、寄り添い合い絆を深めていくダニエルとケイティたち。しかし、厳し…

イギリス北東部ニューカッスルで大工として働く59歳のダニエル・ブレイクは、心臓の病を患い医者から仕事を止められる。国の援助を受けようとするダニエルだったが、複雑な制度が立ちふさがり必要な援助を受けることが出来ない。悪戦苦闘するダニエルだったが、シングルマザーのケイティと二人の子供の家族を助けたことから、交流が生まれる。貧しいなかでも、寄り添い合い絆を深めていくダニエルとケイティたち。しかし、厳しい現実が彼らを次第に追いつめていく。

「わたしは、ダニエル・ブレイク」に投稿された感想・評価

daiyuuki

daiyuukiの感想・評価

5.0
イギリス北東部ニューカッスルで大工として働く59歳のダニエル・ブレイク(デイヴ・ジョーンズ)は、心臓の病を患い医者から仕事を止められる。国の援助を受けようとするが、複雑な制度が立ちふさがり必要な援助を受けることが出来ない。悪戦苦闘するダニエルだったが、シングルマザーのケイティ(ヘイリー・スクワイアーズ)と二人の子供の家族を助けたことから、交流が生まれる。貧しいなかでも、寄り添い合い絆を深めていくダニエルとケイティたち。しかし、厳しい現実が彼らを次第に追いつめていく。
デビュー作以来イギリスの貧困を問う社会派ヒューマンドラマ映画を作ってきたケン・ローチ監督が、人を救うはずの福祉が貧困層を追い詰める現実を問う骨太なメッセージを込めた傑作社会派ヒューマンドラマ映画。
ダニエル・ブレイクは、大工仕事中に心臓発作を起こし、会社の掛かり付け医に仕事を止められたために支援手当を申請するが、何故か就労可能と認定されてしまう。求職手当を受けるために、勤めることが出来ないのに面接を受け、求職手当を受けようとするけど、福祉職員から面接を受けた証拠を持ってくるように要求されるなど理不尽な扱いを受け、ダニエルは人としての尊厳をすり減らす。シングルマザーのケイティも、福祉の支援を受けられず、万引きしたりエスコートサービスに身を落としてしまう。
何故福祉の支援を受けるべきダニエルやケイティが、福祉の支援からこぼれ落ちてしまったのか? それは、保守党が緊縮財政政策を行い、福祉、教育、医療と庶民の生活を支えるべき行政サービスの財政支出を大幅に削減したからである。失業保険受給者や生活保護受給者を更正するという名目で、福祉職員は福祉の支援を受ける受給者を懲罰的な扱いをするようになった。
実際にフードバンクを取材したりした中で、ケン・ローチ監督が聞き取りした事実を元に、映画を作成した。
この映画が公開した年の1月には、呼吸困難など複数の症状を抱えた男性が、失業保険事務所のアセスメントで就労可能と判定され、失業保険事務所の約束取りの帰りに心臓発作で亡くなるという事件が起きている。
緊縮財政と行政手続きの効率化のために、福祉制度の隙間からこぼれ落ちてしまった人を救うために何をしなければならないのかを観る人に問う骨太な社会派ヒューマンドラマの面もありますけど、ルールにうるさく実直なダニエルがシングルマザーのケイティと助け合いながら必死で希望を探す人情ドラマの面もあります。
クライマックスでの「わたしは、ダニエル・ブレイク。人間であって犬ではない。当たり前な人間の権利を要求しているだけだ」というダニエルの言葉が、胸に残る映画です。
andy

andyの感想・評価

4.0
こんな風になって、悲しい。

どこの国でも同じような問題はあって、押し潰されていく人たちがいる。
どんなにがんばってきても、つぶされてしまうことがある。

人との関わりが救い
それでも、社会はとても酷で
どうしたらいいのか。。
希望に繋がるのかもわからないくらい、どんよりしている
真面目に生きていても、時代に取り残されたというか、世の中とズレていくと、居場所が無いというか。現代の閉塞感とも言えるような閉塞感がうまく表現されている。
どの国も似たような問題を抱えてるんだなぁ
考えさせられる作品
人間の譲れない何か、それを尊厳とするなら、
それと死、どちらが守るべきものなのか。
老いた1人の職人と、子供2人を抱える母、

ロボットのような対応の行政に悪意はなく、
彼らも困ってる人を助けたいが、では誰を助けて誰を助けないのか、
全員を助けたい、けど個人の思いだけで動いてはいけない、
自分の金なら好きにすればよいが、そうではない。
決して行政が悪なのではない、有り体に言えば、「社会」だろう。

このまぎれもない事実を突きつけられた私達は、
今の自分の国を顧みて、何を思うのか。

監督はケン・ローチ
本作は2016年のパルム・ドール受賞作品で、
その時のスピーチで自由主義への警鐘を訴え、
かような問題を伝えることのできるのが映画の役割の1つだと語った。

その2年後に受賞した「万引き家族」を直後に観たのだけど、
一層考えさせられます。それはそちらの感想で。
難しかったもう一回観る
scarface

scarfaceの感想・評価

3.6
とにかく真摯に社会に向き合うケン・ローチを尊敬します。たまにつらいけど。
あや

あやの感想・評価

4.0
心臓病でドクターストップがかかり、仕事ができなくなったダニエルは給付金をもらう手続きのために奔走するが…

日本の話かと思った。
ダニエルは職業安定所で手当をもらえないことに苛立ち怒鳴る、シングルマザーのケイティと出会う。59歳で心臓病で失業中のダニエルと、2人の子どもを抱えるケイティなど本当に助けを必要としている人たちに与えられないなんて誰のための福祉なんだろう。
でも日本と比べて考えるとダニエルやケイティの周りは少なくとも心配して声をかけてくれる人たちがいて、無関心ではないなと思った。


オンラインで予約が必要、ネットで入力、などスマホやパソコンを触ったことがないダニエルにとってはちんぷんかんぷん。ダニエルは履歴書も歩って仕事を探し、手渡しに行く。高齢の低所得者がうまく今のデジタル化社会に適応できていない様子もリアルだった。


役所の職員たちもきっと高くない給料で働いているし、ダニエルの隣人の若者たちは朝5時半で倉庫の荷物下ろしの職でもたったの3ポンドしかもらえないので靴を転売して稼ごうとする。
ダニエルが自分の存在を証明するように、役所の壁に"I,Daniel Blake "と落書きするシーンは胸が熱くなった。社会では下に見られても彼らは尊厳をもった人間なのだ。
自分が年をとったときのことを考えると決して人ごとじゃないな、と日本の福祉制度についても考えさせられるすごく良い作品でした。
磔刑

磔刑の感想・評価

3.1
「この世界は生きるに値するのか?」

冷血なシステムに支配された社会と人間性や人同士の繋がりを対比させ、現代社会における中流階級より下の人々の暮らしの実態を描いた作品だ。その試みは評価出来るし、一定の価値はあると思うが只いくつかの点でどうしても「う〜ん…」と釈然としない気持ちにさせられた。

ダニエル(デイヴ・ジョーンズ)の行く手を阻む完全にマニュアル化された社会。それに従事する人間達の杓子定規で融通の効かない考え方は確かに人間性を欠いている。そしてそれが社会に蔓延している事も日本に居ても少なからず感じる。だが個人的にはあれ程顕著で無いにしろ、あのような対応しか出来ない人間側のジレンマも分からなくもない。
貧困層が増えた事で雇用支援手当の審査を受ける人間も当然増える。じゃあそれを審査する人間が審査受ける人の数に対して満足な人数がいるのかって話だ。一人一人親身になって考えてあげたいがそれをしてたら全員に行き届くまで途方も無い時間がかかってしまうし、審査に無闇に感情を挟めば審査基準の中立性を損ない兼ねない。
結局は1人が受け持つ業務のキャパシティを大幅に超えたが為に効率を重視せざるを得ず、システムが歪な迄に厳重になり、弾かれるべきではない人も弾かれる訳だが審査をする末端の人間に与えられた決定権や許容の限度を考えるのなら仕方のない事でもある。それは劇中の「前例を作るからやめろ」って台詞が如実に物語っている。
確かにその構造自体が歪んでいるのは事実であり、問題がある事は確かだ。しかし、日々の仕事に追われながら真面目に働いているであろう大多数の末端の人間を悪人の様に描く悪意ある考え方は到底賛同出来ない。結局はそのシステムや構造を作るのはもっと上の現場や社会の実情を知らない人間なのだからそれらの人々を非難するなら別ではあるが。

ダニエルの言い分は分からんでもないがいかんせん意固地で頑なに過ぎるし、もっと友人や知人を頼り横の繋がりを重視するべきだったのではないかと思う。歪んだ社会ではあるが個人に社会そのものは変えようもないのだから少なからず社会に適応する努力をすべきだったように思え、日本における“コンビニの年齢確認ボタン問題”とよく似ている。

ダニエルやケイティ(ヘンリー・スクワイアーズ)の生活が日に日に悪化する展開も予測通の域を出ず、少なからず退屈にも思えた。
転校したと聞いて「いじめられるぞー」と思ったら案の定いじめられ、「ちゃんと就活してね!」って言われてるにも関わらず足で稼ぐダニエルを見て「おい!それ言われてた手順と違うぞ!また却下されるで!」って思ってたらやっぱり却下される始末。ケイティが怪しげな男に「仕事紹介したるでー」って言われ、「この展開は・・・」って思ってたら案の定だし。「これが現実!リアル!」って言われれば「そうか!」としか言えないが創作物として見たら随分とステレオタイプ過ぎやしないか?仕事のない女性が最後に行き着く先が売春ってベタ過ぎて逆に嘘に思てしまう。ならダニエルも臓器売買位してもおかしくないんじゃないか?
そんな不幸の幕の内弁当のバーゲンセールは“不幸になる事が前提で話が進んでいる”ような印象を受け、問題提起よりも只ひたすらに不幸話を押し付けられている気がしてならない。

安直で俗的な表現をすればいわゆる鬱映画の部類に入る作品だが、暗い映画やバッドエンドの作品は個人的には嫌いではない。しかし今作は鬱映画の根底に在るべき“この世界は不幸に満ちてはいるが生きるに値しない訳ではない”って部分が欠落しており、単に“この社会は生きる価値がない”って事を知らしめているだけでしかない。ならダニエルと同じ境遇の人達がこの作品を観た時どう反応し、何を感じれば良いのかって話で、「ほら!不幸!不幸!底辺の生活に逃げ場なし!最後は死すべし!!」って自分の人生を赤の他人に不幸のレッテル貼りされてるだけで気分を害する以外の感情が湧くのか疑問でしかない。
せめて作品のリアリティラインに沿った“希望”や“生きる意味”を示すべきではないのだろうか?

詰まる所それが本作に欠けているって事はダニエルと同じ境遇の人は作品のターゲット層では無いという事だ。
じゃあ誰の為に作られた作品かと言えば下層階級の実情を知らない上流階級やセレブ層であって、さしては本作に映画賞を厚かましくも与える事で社会の実情を知った気になり、悦に入る。または社会に理解を示している事をアピールして自分達の好感度を上げる。それが今作が与える影響の最終地点になっており、イギリスらしい何ともドス黒いブラックジョーク的である。

暗転した後にNPO法人の名前がテロップされるのではないかとすら思える程啓発的かつプロパガンダ臭漂う内容ゆえ、映画というよりは自己啓発のセミナー教材やACの長編CMのような雰囲気の作品だ。題材は意義深いし、少なからず日本の今と未来を描いているのは間違いない。だがアピールする対象が見え透いているのと自分がその対象では無かった為、琴線には触れなかった。
miu

miuの感想・評価

4.2
2018.06.20
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