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ローサは密告されたのmasatanのレビュー・感想・評価

ローサは密告された(2016年製作の映画)
4.6
フィリピンの首都🇵🇭マニラで、雑貨屋を営むローサは、覚せい剤を所持していることを誰かに密告され警察に連行されてしまう。

私はマニラに行ったことがあります。道端にはホームレスの人がいたり、コンビニの周りには銃を持った警官がいて、Money!とせびる小さな子どもがたくさんいました。その警官たちは、そのような子どもを追い払っていて、私たちはただそれを眺めるしかありませんでした。(ちょっとでもお金を渡すともっとせびるから)

もしかしたら、あのとき会った子どもたちの家族もローサのような家庭だったのかなとか考えてしまいます。覚せい剤を持っていたのは生きるため。覚せい剤を売ってまでしないと生きていけない。

そして取り締まる警察がめちゃくちゃクズでして、保釈金として5万ペソをローサたち家族に要求します。おそらく保釈金と言う名のカツアゲのようなものでしょうか。この警察官は下の階級の警察官で、上級警察官に通報するなよと口止めしていました。この5万ペソはローサたちにとっては大金です。払うためにローサやローサの子どもたちが親戚や友人に、時には身を犠牲にしてまでお金をかき集めます。5万ペソというのは日本円にして2万円もありません。

覚せい剤を売らないと生きていけないような環境、社会がこうした腐敗をさらに加速していると思います。環境のせいで善い人も悪い人になってしまうのは本当にやるせない気持ちがします。
ドゥテルテ大統領になってルールが厳しくなり、その1つとして麻薬の取り締まり強化があるそうです。治安維持のためでしょうが、それによってこの映画のような家庭がたくさんいるのが現実です。

ローサの娘がとある路地で、水に滑って転んでしまうけど、周りの人はだれも助けない、自分一人で立ち上がって歩いて行くシーンが印象的でした。メンドーサ監督によれば、このシーンがフィリピンを象徴しているそうです。
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