けまろう

ラビング 愛という名前のふたりのけまろうのネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます

『ラビング 愛という名前のふたり』鑑賞。ヴァージニア州の白人リチャードと黒人ミルドレッドが夫婦となり、異人種間結婚禁止法の違憲判決が出るまでの物語。「アメリカ史上もっとも純粋なラブストーリー」という触れ込みの通り、ふたりの純真さが胸を打つ作品だ。あくまでもふたりの関係性を描くことを重視しており、裁判の件はかなり端折られて描写される。事実、ラビング夫妻は深く肩入れすることはせず、最高裁での判決も聞かずに家で普段通り家族と過ごすのだった。リアルだったのが、電話で弁護士から勝訴の連絡を受けても、特に強い喜びを示さない姿だ。彼らにとっては、どんな形であれ「愛し合うものが結婚する」ことは当然のことであるからだ。それが違法である事実が異常だったわけで、夫妻には(とりわけリチャードには)裁判に対する執着がまるでない。それは繰り返される「俺が守る」という言葉からも読み取れるだろう。リチャードにとっては、法律が違憲であろうとなかろうと、何よりも自身で愛する妻と子供たちを守ることが最優先事項だったからだ。そうした夫の姿を見て、妻のミルドレッドは夫に従うわけであるし、リチャードの死後「夫に守られた」と感慨深く語るのだ。
あくまでも「ふたりの物語」であることが強調されたプロットで、裁判云々の話は物語の一部にしか過ぎない。そのせいか、濃密な雰囲気を持ちながらも、ドラマ性や盛り上がりに欠ける印象だった。裁判に焦点を当てても非常に面白そうではある。
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