KEY

お嬢さんのKEYのレビュー・感想・評価

お嬢さん(2016年製作の映画)
4.1
まあ好き嫌いは自由だけどさ、この映画にこの平均スコアは高過ぎでしょ!?笑笑

話題の韓国映画が2ヶ月遅れて宮崎に上陸。
同時期に『アシュラ』『哭声/コクソン』が上映されると言う空前の韓国映画ラッシュ。更に宮崎では2週間限定の上映だから、かなり予定がキツイことに…
今作は何とか10分遅れで(完全に自分のミス)劇場に駆け込んだわけなんだけど…

映画館で観れて良かった〜(泣
見終わった後で気づいたんだけど、今作のパクチャヌク監督って『オールドボーイ』の監督だったんだ!!!!ハリウッドリメイク版を観て、あんまし面白くなかったからオリジナル版は観る予定は無かったんだけど、今作の監督の映画ってだけで観る価値はありそう‼︎‼︎
現時点で既に『オールドボーイ』よりスコア平均が高いんだけど、今作は間違い無くパクチャヌク監督の代表作になるだろう 。またもしまだ観てない人で近くの映画館で上映してる方が居たら、今すぐに行って欲しい。それくらい大スクリーンで観ると映える映画だ。


舞台は1939年、日本統治下の朝鮮半島。盗賊団の一味に育てられた孤児の少女スッキは、藤原伯爵を名乗る詐欺師が企む結婚詐欺の片棒を担ぐことになる。
富豪で日本の希少本コレクターである叔父の「上月(コウツキ)」と一緒に暮らす資産の相続人である「秀子」を騙し、スッキが伯爵と秀子の仲介役をし、結婚まで持っていくと言う筋書。しかし、事は思わぬ方向に進み始める。。

【注意】ここから少しネタバレが入ります。未観賞の方様に書いたつもりですが、今作はサスペンス調のラブロマンス、エロティックサスペンスなので、前知識無しでの観賞がベストなのかもしれません。
僕はあらすじを知ってても楽しめましたが。。

今作には、『荊の城』という原作小説があるが、驚くことに時代も舞台も映画とは全く異なる設定になっている。

『荊の城』は19世紀のヴィクトリア朝のロンドン、一方今作は1939年日本統治下の朝鮮が舞台だ。
令嬢と待女が恋に落ちてしまう両作で、重要なのが二人の階級の差だ。
今作では令嬢と待女と言う階級の差に加えて、日本人と朝鮮人と言う差が生じるのだ。
冒頭の10分間を見逃した上に、時代背景が今一ピンと来てない僕からすると、後で考えれば考えるほど味のある設定だった。

「どうしてそこまで日本にこだわるのか?日本より朝鮮の方が良いと言う人もいる」と言うセリフがある様に、万人が日本に憧れて居た時代と言うわけではないようだ。
わざわざ日本人と結婚し、日本の孤児を買い、日本の官能小説を集める上月(これもまた日本名に変えている)は、まさに時代を象徴したキャラクターだ。
そんな彼が手塩をかけて育てて来た秀子を、簡単に奪われてしまうのはどんな気持ちなんだろう。またその階級の壁を越えてまで愛する二人の感情、それらを想像するだけで更に作品が面白く感じてしまう。

完成度が高いのはキャラクター、舞台設定だけじゃ無い。
撮影してる背景、舞台セットが凄い!!!!
ここまであまり触れてこなかったが、今作はサスペンス調で話が進み、二転、三転と全く展開が読めない構成になっている。そしてこの構成の肝が、きっちり三部に分けられている所だ。
この構成はもしかしたら好き嫌いが別れるかもしれない。と言うか、現に僕自身があまり好きでは無い笑
ネタバレがあるからどこで驚いたって言う具体的な表記は避けるけど、確かに展開は読めずに鳥肌立ちまくって、その頃にはスクリーンを食いつく様に観て居たのも事実だ。しかしその一方で、流れがワンパターンになって終盤では既視感さえ感じていたのもまた事実。
サスペンス調で進むから、叙情的なセリフばかりになってしまうのもわかるのだが、僕にはもうひと押し何かが足りなかったのだ。

ただもし他の魅力を挙げるなら、中盤では舞台セットの作りに驚かされることに違いない。これは映画館で観ることを推す理由でもある。
和と洋が融合して作られたその建物のギミックが凄すぎるのだ。「えー!!!!そこが動くのー!!??」とか「そこにそんなものが隠されてたのー!!」と言うシーンの連続。また左右対称の画面の構図が、更に美しく感じさせてくれる。

さて、本題の〝エロさ〟についてだが、今作のレビューでみんな「この監督は変態だ‼︎‼︎‼︎」って言ってるけど、もっと正直になって欲しい。少し恥ずかしがり過ぎじゃないか?
今作を「男女で観て欲しい。なんなら、初デートで観に行ってそのまま破滅して欲しい」とまでは言わないけど、絶対女性も楽しめる作品だと思う。
何故なら今作は女性同士の恋愛の話であって、同時に強い女性を描いているからだ。
同性愛を一方的に肯定した映画では無いけど、絵的にもストーリーテリング的にも男女だったらこんな表現できなかったと思う。
そう言う意味でも今作はエロさと美しさの比率が丁度良かったのだ。
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