ピッツア橋本

お嬢さんのピッツア橋本のレビュー・感想・評価

お嬢さん(2016年製作の映画)
5.0
“嘘が蠢き、性が香り、そして愛がもの語られる。日韓混合、特濃なラブサスペンスミステリーを残さず呑み込め!?”

『オールドボーイ』のパクチャヌク監督が描くエロスとサスペンスミステリー。

とある変態愛書家の富豪の令嬢と政略結婚するために、
詐欺師の男と女が男爵と女中に扮して御屋敷に近づく。
令嬢は血は日本人でありながらワケありでずっとこの韓国の山奥にある大豪邸から出ずにあらゆる知識教養を受けながら純潔に生きていた。
偽男爵と女中は予定通り、令嬢の心を落としたかに見えたのだが…

あらすじだけ見ると使い古された三文芝居のシナリオに見えるが、これをパクチャヌクが演出すると愛欲と嘘の嵐吹き荒れる極上のメロドラマが描かれてしまうからすごい。

韓国人のダイナミックな感性に日本の浮世絵、春画の独創的なエロスがミックスされてファンタジスタな展開が目白押しだった気がする。
英語のような感じで日本語が共用語で展開されるのも独特な雰囲気を出している。
もはや今村昌平を越えたといっても過言ではないと思う。

そしてベースにはしっかりとした美しい嘘のやり取りやキャラクター達の美学が丁寧に描かれており、1秒たりとも決して見逃せない。

三幕構成になっていて、まさかの展開とその理由がしっかり意外性を持って描かれていて脚本としてのクオリティもすごく高い。
主演女優2人がはじめは薄味かなと思ってたら話が進むにつれて極彩色の華を咲き散らす。久々に映画を美しいと思えた。

エロスだけでなくパクチャヌクお得意のバイオレンスなヤツももれなく入ってる。
皮肉じゃなくて大満足でお腹いっぱい。

『花と蛇』とか日活ロマンポルノへのリスペクトもあるとみた。

やり切ってる、振り切ってる映画に飢えてる方は是非観て欲しい。
あとたまに居るけどちゃんと観たことないくせに韓国映画バカにしてるヤツ、これでも喰らえや!!
ピッツア橋本

ピッツア橋本