kasmi

お嬢さんのkasmiのレビュー・感想・評価

お嬢さん(2016年製作の映画)
4.5
韓国映画らしい騙し合いのストーリー構造と耽美な世界観が圧巻。
すごいものを見た、と思った。

そしてとにかく素晴らしいのはあの輝かしいエンド。彼女のために怒利、泣くこと、彼女と共に生きていくこと。女にとっての救いとはああいうことだし、破壊が伴うのだ。最高のフェミニズム。

お風呂の中で歯を研ぐシーン、キャンディを舐めるシーンは本当に可愛い。本当に本当に可愛い。

セックスシーンは全体的に男性の目を意識した「百合」っぽい仕上がりになっている。「レズビアン」という言葉は男性にとって魅力的なものとして扱われ消費されてきた経緯がある。あれは男性向けの女性同士のエロだ。サービス肉体シーンなしにはレズビアンは描かれない、とよく言われるけど、こういうことだと思う。

朗読のシーンは胸糞悪くも滑稽である。怒りがわくと同時にとても愉快にもなった。現実を見事に抽象的に描写しているからだ。現実の社会がエロがセックスが、あれぐらい胸糞悪いものであることを暴いてくれてありがとうと言う気持ちになったのだ。

民族と時代感をもっと知った上で見ればより深くわかることがあるだろうし、最後の「チンコを守れてよかった」という示唆的なワンシーンも考察の余地がありそう。絶対に見直したい。
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