菩薩

シエラネバダの菩薩のレビュー・感想・評価

シエラネバダ(2016年製作の映画)
4.0
Twitterの具現化の様な内容で劇中の台詞を借りれば「うんざり」としか言い様が無いが、町田康ですら「とりあえずメシ食え」と言い出すであろう3時間。とにかくトラブルに次ぐトラブルで皆で座って食卓を囲んで飯を食うがことごとく阻害されていく。法事で親族集まるとロクなこと起きないあるあるではあるけど、衣食足りて礼節を知ると言うか、やっぱり人間腹が減るとイライラするし…と単純な人間の生態観察としての読み方も出来るし、「父」を喪失した集団内での混乱と混沌って意味ではソ連崩壊後の旧共産圏の動乱に繋げて見ることも出来るのだろう。せっまいアパートの一室で常にあっちでギャーギャーこっちでワーワーしている映画であるが、ようやく神父が到着し祈りを捧げる場面だけは一応の落ち着きを見せる。とは言え陰謀論やなんだとポストトゥルース的な目線で見ればそれこそ最たるものとなるであろうし、そもそもの元凶でもある。親族であろうと分かり合えない人間との間でイデオロギーやら歴史認識やらの話をしたって全くもって無意味、法事はとりあえず寿司だけ食って帰る、それに尽きるだろう。
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