ネブュラー

セールスマンのネブュラーのレビュー・感想・評価

セールスマン(2016年製作の映画)
4.3
「セールスマンの死」の戯曲と共鳴する。
劇中劇の悲劇、本作の主人公・ある夫婦に降りかかった悲劇とそれがもたらすさらなる悲劇。
イランの住空間、この殺伐としていて、ふと冷たい感覚を残すある種の残酷さが、空間を通して強調されているように感じる。
そのパーソナルスペースを跨いだあとに漂う心情の影がはっきりと目に見えるものではないのだが、ファルハディ監督が空気に色をつけたかのように、あるシーンあるシーンで明確で冷や汗が止まらない気まずさを作り上げる。
飛び交う一見的外れな言葉たちが、こんなにも心をえぐり出すのかと、意図せぬもの、意図したもの、様々な人間の残酷さに溢れた悲劇であり、ラストの家族たちの言葉の洪水はとてつもなく激しく、感情ベクトルが引きちぎられそうになるねじれ現象が正直ユーモアを醸し出している点は変、異様すぎる。
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