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セールスマンのatsukiのレビュー・感想・評価

セールスマン(2016年製作の映画)
4.3
【闖入者】

「セールスマンお断り!」だとか、喪黒福造だとかではなく、小さな劇団に所属し、作家アーサー・ミラーの戯曲「セールスマンの死」の舞台に出演している役者の夫婦が、ある日引っ越したばかりの自宅で夫が不在中に、妻が何者かに襲われた事件をキッカケに、犯人探しを通して移り変わる人間模様を描くサスペンスドラマ。

極論言えば『別離』の二番煎じの気もしてならないが、題材も題材なので違った面白さはある。

『別離』でもそうだったが、アスガー・ファルバディ監督の見せない美学と言うか、映画の「なぜ?」の部分への答えを少しづつ見せるからこそ、観客は気づいた頃にはこの映画の坩堝にハマっている。

一貫したプロットはある出来事によって、ある家族とある家族の思惑が交錯する事で予期せぬ展開を迎えるといったところ。

これ以上何を書けという話だが、『別離』でもそうだった様に世界情勢を巧みに取り入れてるからこそ、ハイクオリティで映画を作り続け、また今年のアカデミー外国語映画賞も頷けるのだ。
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