スローボート

セールスマンのスローボートのレビュー・感想・評価

セールスマン(2016年製作の映画)
4.0
性被害をめぐる心理サスペンスは序破急という言葉を思わせて、その作劇術に嵌った。事件を機にした夫婦、男女のありよう、捜査や司法に対する視線、被害者への抑圧等の普遍的な問題の中にイランの歴史と文化が絡む語り口は見事というほかない。 そして通奏低音としてのアーサー・ミラーの戯曲。映画が終わったところから被害者、加害者とその家族の物語が観客の中で始まる。できれば監督の描くその後の物語を観たかった。結末の付け方は難しい。