天国へ昇った盲腸

セールスマンの天国へ昇った盲腸のレビュー・感想・評価

セールスマン(2016年製作の映画)
3.0
観終わった直後:
世間体とか恥とか名誉とかをを気にするイラン人基質の主人公たちに苛立ち不快感を覚えた。

落ち着いたあと:
この不快感こそファルハディ監督の狙い通り、イラン社会問題の指摘になってるんじゃないかと気づき、尚更ムカついた。

同監督の前3作を振り返って:
『彼女の消えた浜辺』
詩的で印象的だった。名前も素性も知らない人が、身内の集まりに参加してくることってよくあるよね…ってしみじみした。イランにもよくあるし、きっと他の国にもよくある。

『別離』
これは痺れた!最後のシーン、娘が離婚する両親のどちらに付いていくか、結論を出す前に映画が終わるのが痺れた。これも、イランの一家族を通じて全世界の社会問題の1シーンを描いたような、小さな舞台だけど壮大な作品。

『ある過去の行方』
複数人の視点から描かれた、フランスを舞台にした映画だった。「イラン社会問題を描く監督」というレッテルから抜け出し飛び出した作品だったと思う。

そして今作『セールスマン』
ファルハディ監督はスペインで映画を撮ろうとしていて、でもキャストが揃うまで思ったより時間がかかる(1年くらい)から、その間にイランで本作を撮ったらしい。その程度の軽さの作品、ていうのが正直な感想。