あおい

セールスマンのあおいのレビュー・感想・評価

セールスマン(2016年製作の映画)
3.5
闖入者が残した傷は、深く、心にまで…

初イラン映画劇場鑑賞は今年度アカデミー外国映画賞受賞の今作!時代はイランに傾いている!ハズ

◎ストーリー
昼は教師、夜は演劇俳優のエマッドは同じく俳優のラナと順風な夫婦生活を営んでいた。あの夜の闖入者が現れるまで、、犯罪への報復は醜い復讐と化すのか?真っ当な正義か?

中々良い雰囲気で始まり、静かながら続きの気になる見せ方が素晴らしかった。終盤の盛り上がりからの最後の一転は予測不可能。そこまでは良かったです。でも、そっからがどうも腑に落ちない。やるならとことんやって欲しかった。誰も報われないあの無常観も嫌な後味でしたが、オチとしてはスッキリしないのがなんとも。

途中で挟む演劇シーンは物語に特に影響が無かったのは残念。あの演劇について知ってたらなにか変わったのかな?

見た人に色んな解釈をさせるのがイラン映画のいい所でもあるんでしょう。今まで見てきた、イラン映画の中では映像も綺麗で、お話もいたってわかりやすくハリウッドに遜色ない出来でした。

あとは俳優さんたちが良かった( ^ω^ )憔悴した演技から復讐に駆られる演技まで、とても表情豊かで見てて飽きない。ちびっこ俳優くんも可愛い演技!聞き取りやいペルシア語でなおキュート!

セリフのないシーンも多くて、キャラの心理描写が上手い監督やなと思いました。トランプに反対して、受賞式をボイコットしたのも粋な判断。頑張れ!イラン!🇮🇷

原題はفروشندهで直訳してセールスマン。これも物語と大きく関わるわけではなかったように感じましたが、やはりそこは自分の知識不足なんやろなと思いました。

イランではレイプとかそういう性的犯罪は少ない印象で、性に関しては厳し目やと思ってたけど、娼婦とか普通にあるんやな。変態が多いのは知ってたけど実力行使を行う者がいたとは…まだまだイランのことは知らないことばかりやと痛感。

2017年劇場鑑賞17作目
あおい

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