たつかわ

セールスマンのたつかわのレビュー・感想・評価

セールスマン(2016年製作の映画)
3.8
イスラム宗教的な女性差別と家族観

前々作の傑作「別離」から5年ぶりにイランで撮影した作品です。
共通点は、主役が夫婦であること、事件・事故現場がマンションであること、
そしてテーマがイスラム宗教的な女性差別と家族観であることです。

本作では上記に加えて監督は、今のイランはアメリカの戯曲
「セースルマンの死」で描いたような
急速な発展に上手く乗れている人もいれば、
乗り遅れて落ちている人もいるという思いを取り入れて、
表現されているが、あまり伝わってこない。

今作もイスラム宗教的な女性差別と家族観をメインに描いていて、
例えば、アメリカで子供だけではなく大人にも人気のキャラクターである
スポンジ・ボブで遊び、スパゲティーを食べ、iphoneで電話し、
そして奥さんは上にあげた戯曲を演じ西洋風の格好をしても、
頭にはいつもヒジャブ(スカーフ)を巻いている。
そういえば、別の作品で同時期に公開された「パトリオットデイ」でも
ボストンマラソンの犯人の奥さんが
「イスラムの女は男にとっての所有物」と語っていた。

その奥さんはある男から暴力を受けたが、
絶妙な不安そうな表情が本当の真実は実は別にあるのでは
常に疑問に思ってしまい、早く早く喋ってしまえと
思ってみていましたが...

残念な点は、犯人がとても身体的に奥さんを
襲うような人間に見えないので無理がある点です。

おススメです。
たつかわ

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