ペイン

セールスマンのペインのレビュー・感想・評価

セールスマン(2016年製作の映画)
3.5
アスガー・ファルハディ監督といえば超自然主義で俳優陣から子役に至るまで驚くほど自然に演出をする達人。

今作も俳優陣の実在感、佇まいの自然さたるや鳥肌もの。

今やイランを代表する世界的名監督の地位を得ているファルハディだが本作でも緻密な人物描写でグイグイ我々を引き込んでくれた。ファルハディの映画を観ると“映画は金じゃない”ということを痛感させられる。決して派手な仕掛けはないが着実な演出と演技で魅了してくれる。

正直、本作は彼のぶっちぎりの最高傑作『別離』に比べると前半部分での冗長さが目立ったり全体的にのぺ~っとした仕上がりに若干なっていたがそれでも後半からのいつものファルハディ節炸裂なラストスパート、人間の業のあぶり出しには痺れた。

余韻の残し方も素晴らしい。あ~本当に上質でご立派な映画を観たなという満足感に浸れる。

ただアカデミー賞外国語映画賞は『ありがとう、トニ・エルドマン』で良かった気がする。
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