とぽとぽ

セールスマンのとぽとぽのレビュー・感想・評価

セールスマン(2016年製作の映画)
4.0
「男」またしても夫婦の崩壊?...一つの暴行事件を機にゆっくりと壊れていく日常、家庭、夫婦生活。綻びが、不和が広がっていく。難しく曖昧なテーマをまたしても宗教等文化圏・歴史(現在)に根差した視点から描き切る圧倒的度量と覚悟、真の洞察。何よりキャラクター各々の葛藤が注力されるように時間をかけてしっかりと描き掘り下げられている点は特筆に値する。表立った動きよりも一ヶ所に留まり内側・内面を丹念に突き詰める。些細なことで言い争ってはすれ違っていく様が何だかリアルで見ていて辛いし胃がキリキリするようなのに見るのをやめられないのはやっぱり巧いし何より本気だろうから。演技も演出も静かに熱を帯びていくよう。イランがほこる才人アスガー・ファルハディが『別離』に続きアカデミー外国語映画賞を受賞した本作にはそれだけ意義深いドラマとミステリーと問い掛けがある。冒頭と終演が反復されていく、タイトルの意味を考えて鳥肌が立った。

「学校へ行かないで。一人が怖いの」
勝手に関連作『隠された記憶』『プリズナーズ』
TOMATOMETER96 AUDIENCE84
The Salesman takes an ambitiously complex look at thought-provoking themes, and the well-acted results prove another consistently absorbing entry in writer-director Asghar Farhadi's distinguished filmography.
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