イラン映画が熱いという噂を聞きつけてDVDを借りてみた｡
アーティスティックでシンプルだけど､物語があまりに不条理で後味が悪かった｡
なんの問題もなく暮らしていた夫婦は､ある薄気味悪い事件に巻き込まれる｡
はっきりとは描かれていないけど妻は乱暴されただろうことが匂わされる｡その傷の繊細さと､妻が望む対象を夫はなかなか理解できず､二人はすれ違っていく｡
その謎というのは案外あっさりと解決されるので､この映画は計算ずくのサスペンスというよりはヒューマンドラマにカテゴライズされると思う｡
なぜか犯人を許すと言い出す妻｡報復しないと気がすまない夫｡(でも相手の言うことは聞いちゃう甘さはある) 真実を誰にも語ろうとしない夫婦｡
主役の夫婦を含め登場人物たちの行動原理が理解できなくてもどかしい｡もやもやする｡
イランがあまりに馴染みのない異文化だからか､この物語の事情が特殊だからか｡
この映画の読み解き方がわからない｡
意図せぬ復讐を果たしてしまい､さらなる秘密を共有することになった夫婦に連帯感が生まれる｡
不条理と後味の悪さを味わう映画｡
