セールスマンの作品情報・感想・評価 - 65ページ目

セールスマン2016年製作の映画)

Forushande/The salesman

上映日:2017年06月10日

製作国:

上映時間:123分

3.7

あらすじ

作家アーサー・ミラーの戯曲「セールスマンの死」の舞台に出演中の夫婦。夫は教師をしながら、小さなの劇団で妻とともに俳優としても活動している。 ある日、引っ越ししたばかりの自宅で、夫の留守中に妻が何者かに襲われ、ふたりの穏やかだった生活は一変する。事件を表沙汰にしたくないと警察への通報を拒否する妻の態度に納得できない夫は、自分自身で決着をつけるべくひそかに犯人捜しを続ける。 演劇と犯人探し、夫婦…

作家アーサー・ミラーの戯曲「セールスマンの死」の舞台に出演中の夫婦。夫は教師をしながら、小さなの劇団で妻とともに俳優としても活動している。 ある日、引っ越ししたばかりの自宅で、夫の留守中に妻が何者かに襲われ、ふたりの穏やかだった生活は一変する。事件を表沙汰にしたくないと警察への通報を拒否する妻の態度に納得できない夫は、自分自身で決着をつけるべくひそかに犯人捜しを続ける。 演劇と犯人探し、夫婦の感情のずれがスリリングに絡み合い、やがて物語は思わぬ展開に…。

「セールスマン」に投稿された感想・評価

ママコ

ママコの感想・評価

4.0
やむなく慌ただしく移り住んだアパートで、夫留守中に侵入してきた何者かに妻が襲われたショッキングな事件。事件を表沙汰にしたくない傷心の妻、それに対して、犯人を捕まえて復讐したい執念の夫。夫婦は気持ちのすれ違いから、険悪になっていく・・・その夫婦役のシャハブ・ホセイニとタラネ・アリドゥスティの演技が素晴らしいし、
スリリングなサスペンスタッチで、夫が犯人と対峙するクライマックスまで観る者を飽きさせない、監督・脚本のアスガー・ファルディも素晴らしいです。
Terrra

Terrraの感想・評価

-
イランの国情や文化に立脚しながらも、どの国でも起こりうる性的犯罪事件をキッカケに露呈する夫婦の価値観の違いや深層心理をえぐり出す、緻密なサスペンスドラマ。特定の登場人物に寄り添わない、リアリティある会話劇にどんどん胸が重苦しくなった。
初めてのイラン映画。消化しきれない。いきなりアパート崩れてたし。
「マンチェスター・バイ・ザ・シー」よりも地味。しかも、心情描写がリアルなぶんだけ、モヤモヤが募って後味が悪い。男と女、特に夫婦の考えの違いはどの国でも同じだと改めて感じた。

戯曲「セールスマンの死」が象徴するのは、夫の独りよがりな考え方なのか。なんか身につまされる。

スコアは、映画の出来というより、僕の理解度かな。
fishbed

fishbedの感想・評価

-

このレビューはネタバレを含みます

好きな台詞
”彼は私の命なの だから、命を返してくださってありがとう”
takeman75

takeman75の感想・評価

4.1
ある日、突然妻を「傷物」にされた夫の「屈辱」、そして事件の被害者である妻の「恥辱」は、果たして何によって「浄化」されるのか。『別離』のアスガー・ファルハディ監督が突き付ける、あまりにも重い宿題に、観終わった後もしばし呆然。イスラム教では強姦を受けた女性も犯人同様、罪に問われる場合もあり、警察に捜査を依頼する事ができない…って、形は違えど「今」の日本も同じ様なものなのは、昨今のニュースでも明らかな通り。
エドワード・ヤンやポランスキーの諸作を思わせる「不穏」な空気の中で、近代的な西洋文化の暮らしと、旧態依然とした「倫理」が隣り合わせで成り立っている、イランの都市生活が興味深い。そこに一旦「亀裂」が入ると、修復する術を知らない彼らの姿を、果たして「他人事」と突き放せる者など居るだろうか。
ちなみに『セールスマン』というタイトル、劇中で主人公がアーサー・ミラーの戯曲『セールスマンの死』を演じている事にちなんでいて、正直観ている間はあまり主題との共通点を見出せず、多少戸惑いを感じた。しかし次第に本作が纏っている夫婦の「仮面」と、舞台で「演じる」事の共鳴に気付くと、胃の辺りがグッと掴まれる様な気持ちで、居たたまれなくなる。ファルハディ先生、今回も本当に底意地悪いです。
わい

わいの感想・評価

-
2017年97本目
日本シネアーツ試写室にて

ファルハディ監督の展開の読めなさが好きだなぁ。
いつも観ている欧米の映画と違って、サスペンスタッチであっても
どうなるかわからないドキドキ感。
最後の犯人との対峙シーンなど、どうなるんだろうって思うし、
あぁこうなるのかと思わせて・・・

そして文化的背景の違いで、いつも感じる価値観の違い。
宗教、階級そして男女格差。
それをはっきりと大袈裟に見せるのでなく、さり気なく盛り込んでいる。
周囲の何気ない台詞に、そして主役に夫婦二人の会話でも。

だけど、別世界の話と感じさせない、夫婦でもどこまで信じ許せるのかっていう普遍的な部分があって。

その独特さと普遍さのバランスがサスペンス部分と絡んで
本当上手いというか、自分は好きなんだと思う。
愛情があるからこそ悩むし、悔しいし、怒る。
つまり愛情があるからこそ苦しい、と言うことを思った。

愛情ってのは近親者に対してだけではなく、自分に関係のない人や、憎い犯人に対しても。

「犯罪者に愛情とか草不可避」「普通に死刑だしワロタ」って言う状態では見えない景色。

また、〝復讐〟っていうものも日常には存在しないものなんだなと思いました。
復讐心が一瞬芽生えても、それを持続させたり実行するのって、だいぶ日常生活から精神的に分離してないとできない。
精神的に閉じこもっていたり怒りに包み込まれていないと〝復讐〟っていうのはできない。

だから、復讐するぞ!って思ってる時って、ちょっと義務というか、演技チックなんですよね。
そういう意味での劇中劇でもあるのかな、と思ったり。



「他人のスマホの写真を見る」とか「他人の靴を脱がせる」っていう行為が、あんなにも緊張感のあるシーンだったのは、それまでに人間の尊厳がきっちりと描けていたから。

この何気無い行動を見て辛い気持ちになれたのは、登場人物がをちゃんと本当の人間として見れていたからですね。
どちらも映画的には全然大した行動じゃないから、映画によってはスルーされちゃうようなシーン。
だけど、それをちょっとしたホラーのように見せられるのは監督と俳優の力だろうなあ。


イランについてあまりにも知らなくて本当にすみません。こんなにも都会で現代的な暮らしだったとは。

車の量すごいし、高校生でもだいたいスマホ持ってるし、薄型テレビでかいし、アパートっつってるけど日本の感覚じゃマンションだし、部屋広いし、インテリアおしゃれだし。
しかも高校教師(夜、舞台俳優やってるけど)でそんなに高給取りじゃないだろうからそんなに金持ち設定でもないだろうし。
あまり知らないイランを見せてもらいました。

そういう現代的な一面と、女性差別という面ではまだまだ伝統的な考えに縛られて人権保護が進まない、という2面性を対立させていました。

劇中劇で、裸の娼婦役なのに思いっきり全身覆うコート着てるのとか、ものすんんんごい緊急事態で汗かいて暑いって時も「あ、男がいる!」ってことでちょっとはだけていた黒い布をきっちり全身にかぶせるおばあちゃんとか、ちょっとしたところで女性に対する抑圧を描いています。



この監督のすごいとこは、僕が頑張って書いた上記のような理屈抜きにしても、サスペンス映画としてただただ面白い!ということ。

大殺戮もないし、超人パワーもないし、銀河系に危機も訪れないけど、精神的にじりじり来るサスペンス。

ラスト(っつっても30分間くらい)はほとんどマンションの一室。
狭い空間、少ない人数だからこそ、その均衡が崩れるのが怖い。



主演のグッドルッキング夫婦(夫、今作でカンヌ男優賞受賞)も演技すごいんだけど、他のイランの俳優さんみんなめっちゃくちゃうまかった。。

あまりにもイランのこと知らないけど、感情は人間共通なんだと教えてくれる。
kapo

kapoの感想・評価

3.5
あぁ疲れた。
何でかというと、とことん
男(人間)の小ささを見た気がするから。

イランの映画なので、
イスラム文化(男尊女卑など)が
柱にはあるんだけど、
愛という社会的な絆(結婚)
に隠れた我が儘さで
男女の間が色々こじれていく。
その度に心臓がキュっと小さく
なった気がした。
でも、まぁこの映画は愛がベースなのだ。
宗教とかそんなの抜きにして。
そう信じたい。

女性は観ていて
居たたまれなくなるだろうけど、
この監督の静かなる烈火な感情の描写は、
やっばりすんごいと思う。
息を呑む。
よくあるアメリカ的な驚かしてやろう
サスペンスではなくて、
ねっとりとした伏線が余韻として残る、
粘着質サスペンス。
(悪い意味じゃないです)

俳優たちの演技が逸品だった。
音が大きすぎたけど。。
miwachin

miwachinの感想・評価

3.5

このレビューはネタバレを含みます

本当にありえそうな話で観ながら
うん、アルヨネーと思って観ていた。
旦那の留守中に妻を襲った犯人は
どんな変質者なのかと色々思いを巡らせていたが
あまりにも犯罪を犯すように見えない老人。
しかも人の良さそうな。。。魔がさしたのだろうか
その犯人は犯人で長年連れ添った妻にそのことが
バレたくない。死を持ってしても。
犯人しかり被害者旦那しかり愛の形が見えるが
それは男のエゴで。女はそんなエゴはなく
ただ愛する旦那と幸せでいたいだけなのに悲劇を生んでしまう。
男と女の愛の形って違うんだなーとしみじみ考えてしまいました!
Clara

Claraの感想・評価

3.6
試写会にて。アカデミー賞を受賞したものの、反トランプで不参加だったりして、文化的活動と政治が分離されていないなどの意見が飛び交ったりしたやつ。
パートナーと観るのもいいかもしれない。男女の考え方の違い、隣にいるこの人が同じ経験をしたらどうなるのか…重ね合わせながら観るのもひとつだと思う。

アーサー・ミラーの戯曲「セールスマンの死」が物語に深く関係していて、これがあってこその作品だと思う。
また、中東ものは終始静かな印象があるが、これはただ静かなわけではなかった。無駄な音は排除し、見るものの想像に託す部分もあるが、音の強弱(静けさとビクッとするような音)が物語を深めている気がする。(少なくとも私の印象に残っているシーンは、全て音に対する印象と関係していた。)

犯人を許せない夫は、次第に追い込まれていく。被害に遭った妻は、何もかもなかったことにしたくて忘れる努力を選ぶ。そして、お互いを理解できなくなり仲の良かった夫婦の間に溝が生まれる。訴えても無駄だと思ってしまうような社会の実情、無駄だと言う周囲の人々、思い出したくない気持ち…よほどの人でない限り、最大の侮辱を受けても忘れる努力を選んでしまうのだろう。厳格な中東社会の夫婦や男女のあり方もまた理由の一つだろう。

終盤は、え?そういう感じにしちゃうの?という気持ちもあったが、犯人だけを見るのではなく、その先にいる人達を見ることができるか否か…それを考えながら観ていた。そしたら、そりゃこの状況でそれしたらそうなるでしょうよ!という結末を迎えたので、ある意味驚いた。でも綺麗にまとめないところが好感を持てた。