セールスマンの作品情報・感想・評価 - 65ページ目

「セールスマン」に投稿された感想・評価

えーこ

えーこの感想・評価

3.5
エマッドとその妻ラナは同じ劇団の俳優。
引っ越したばかりの自宅でラナが何者かに襲われる。
犯人を捕まえようとする夫、表沙汰にしたくない妻、
感情がすれ違い始める。
冒頭の壁の亀裂は、まるで夫婦間の亀裂を暗示するかのようだ。

ほんとこの監督さんは、人物描写が巧みで、
そのリアルな演出にハラハラさせられる。
事件をきっかけに、価値観の違いが顕になり、
だんだんお互いが理解出来なくなっていく様が見事に描かれている。

劇中に「セールスマンの死」の舞台シーンが随所に挿入されるんだけど、
これは、"時代の変化に取り残された戯曲の主人公の境遇を、急速に近代化が進むイランの社会状況に重ね合わせた"とあるが、
社会は進歩していっても、男尊女卑が根強く残り、人々の意識はまだまだ因習的で変わらないということだろうか??
戯曲の主人公は"死をもって精算する"…

このまま二人は"夫婦"を演じ続けるのか、
それとも"別離"の道を歩むのか。
"セールスマンの死"に囚われたまま、今日も幕は上がる。
つむて

つむての感想・評価

4.1
「たどり着いた真実は、憎悪か、それとも愛か」
そういうことじゃあないと思うんだが
yakko

yakkoの感想・評価

3.6
1週間限定で地元で上映してくれました。遠出しなくてすんでラッキーでした!

この監督の『ある過去の行方』はフランス映画ですが、観ていました。イラン映画はおそらく初体験です。

小さな劇団でアーサー・ミラーの戯曲「セールスマンの死」を演じる夫婦。

突如住まいが崩壊の危機に陥り引っ越しを余儀なくされる。劇団員のつてで新居に引っ越すが、夫の留守中に妻が浴室で何者かに襲われ大ケガをおう。
どうやら如何わしい事をしていた前の住人と間違われたようだ。

犯人を見つけたい夫、警察には絶対通報しないと言い張る妻。
一人になるのが怖い妻、しかし夜に寄り添おうとすると拒絶される夫。
(おそらく性的暴行を受けていると思われるが、作中でははっきりと示されるわけではない。)

事件をきっかけに少しずつすれ違う夫婦の感情。
夫は独自に犯人探しをはじめ、やがて衝撃の結末を迎えることになる。


夫婦に起こった事件。どこの家庭にも大なり小なり事件は起こると思います。
そんな時、相手の感情を受け止め、寄り添い続けるってなかなかできないです。
この夫婦のすれ違いや葛藤はすごい分かる!と思いながら観賞していました。

ラストは観入りました!
どう終わっても全員にとって良い結末はなく、目には目をでしょ、と思う反面同じ土俵に立ったら負けだと思ったり。難しい、難しい…。どう転んでも後味は悪いと思う。

いや、でも犯罪を起こす者はズルい!


劇中「セールスマンの死」の舞台上で現実の感情が吐き出されてしまうところが効果的でした。

事件の詳細や鍵となる人物が映像として出てこない分、想像力が掻き立てられる絶妙な心理サスペンスでした。
まぁ

まぁの感想・評価

4.3
心がざわつき、頭がグチャグチャ、足取り重く…帰宅しました…*

誰に感情移入するか…で、感想が変わりそうな作品ですね…*
何ともいたたまれない…苦しい、哀しい気持ちで一杯です…*

「許す」…って一番難しいかな…と思うのですね……私…。
憎む、恨む、嫌…といった感情って、誰にでも起こると思うのだけれど…*
「許す」…って、とても難しい感情だと思います…(^^;;

加害者、被害者…どちらにも「家族」がいて…*…家族にとっては、大切な存在なんですよね…♪
おじいさんの行動は、許される事ではないけれど…(涙)
きっかけは、「勘違い」…だったので…(^^;; (「勘違い」…であっても、ダメですよ…あれは…汗)

終盤に向かうにつれ、鑑賞が…キツく…なりました…(^^;;
観る者に委ねているラストシーンは、好きです…☆
良い作品…だと思います…(^^)

1週間限定、しかも1日1回の上映なので…少しだけ遠出しましたが……劇場で鑑賞出来て良かったです…☆
(誰かと語り合いたくなる…作品です…*)
イラン映画は「運動靴と赤い金魚」以来2作目。あまり目に触れない映画だからこそ大事に観た。アーサー・ミラーの「セールスマンの死」を上映する夫婦にまきおる暴行事件とその真実を追う夫と妻の確執。イランの女性の置かれてる位置や習俗
多くは語られないが明確に表現している。サスペンス仕立ての素晴らしい現状報告として受け取った。「別離」がみたいしもっともっとイラン映画見れる環境が整えられればいいのだが。
Hook

Hookの感想・評価

2.5
重い映画だったな。普段見るタイプの映画ではないが、あとからじわじわきそう。
skm818

skm818の感想・評価

4.0

このレビューはネタバレを含みます

ミステリとしてはちょっとひねりがなさすぎるしアンフェアな感じもするが、多分これ犯人探しが主眼じゃないから。
これって妻を思いやってるようでいて、実は自分の憤懣しか見えていなくて暴走しちゃう夫の話ですよね。洋の東西問わずありがちのテーマ。見応えがある。
事件直後は混乱した妻が色々矛盾したことや無理を言い、見ているこちらとしても、どうせえっちゅーねんという気分になったが、まあ被害者ってそういうものなのだろう。夫の対応も一所懸命やってはいるが、その言い方はちょっとまずいなと思うところがあれこれあった。普段だったら些細なことで流すんだろうけど、こういう時ってそれだけでひびが入っちゃうんだろうねえ。旦那としてはなんかもう加害者探し出して責めるしかない気分でもあっただろう。
終盤のジジイについては、あれはもう自業自得でしかないと思うが、あの一連の流れ怖いな。あのエマッドの行動。欧米映画とも日本映画や韓国中国の映画とも違うタイプの怖さ。わかりやすく殴る蹴るというんじゃなくて、銃やナイフで脅すんでもなくて、でも怖いんだよ。言うなれば西アジア的な怖さ(意味不明)。礼儀正しくもの静かにターゲットを追い回し、礼儀正しく物静かに粘着していく感じ。
実際エマッドはそんなしょっちゅう大声を出す男ではない。優しい男だと思う。でも目が怖い。トラックの持ち主を追い回し、ジジイを見つめる目が怖い。勝手に妻の事件について喋って回った劇団仲間を見る目が怖い。いやこの家を紹介したおっさんが実は犯人なんでは?と思ったりもしたが、単におせっかいなだけだったわ。
イランは表現規制が厳しいと聞いていたが、娼婦の出てくる演劇もそれなりの工夫をすれば上演出来るんだな。てかやっぱ売春する女の人っているんや…当たり前か。
Yoshmon

Yoshmonの感想・評価

3.7
イラン出身のアスガー・ファルハディ監督の映画を観たのは、三作目。

最初に”別離”。
次に”浜辺に消えた彼女”。
そして今作。

芸術とは制限された環境下でこそ、創造力は活かされるもの。
完全に自由な世界からは創造力は逆に生まれない。

この監督の凄さは、そこにある。
情報統制の厳しいイランにおいて、自身の創造力を以ってグローバルでも高評価を得る作品を連発している監督。

僕が一番最初に鑑賞した”別離”は、その完成度の高さに魅入るばかり。

でも何故だろう。
三作目の今作は伝わってくるものが限定的だった。
もう一度見直せば新しい視点に気付くかもしれないけど、設定もストーリーも過去作品とは全く異なるけれども何か、リズムのようなものが共通であるように感じた。

個人的には冒頭の触りの部分。しれっと過ぎ去り、ストーリーは進んで行くけど倒壊寸前のビルを夜間急いで退避する住民たち。
あまり気に留める人は多くないかもしれないけど、日本ではあり得ないこと。

そんなあり得ないことがしれっとスルーされる演出にまずビックリ。

ここから見えるのは、イランの経済成長のスピードとそれについていっていない配慮(安全面)。

それが今作にあった気付きの一つ。

***
性が経済を回す人間の動物としての低次元の欲求と愚かさは、万国共通。(婚前の姦通により、あるイスラム圏の国々では石打の刑にされると聞いたことがあるけど。)

しかしその後の妻の反応、夫の反応には、日本人にも起こり得そうな展開にも思えたけれど、より宗教的要素が絡む作りだった。

単純に善悪では描けない、いろんな人たちの思惑、利害を絡めてロジカルに構成して行くところがこの監督の手腕が発揮されるところかな。
二式

二式の感想・評価

3.3
事件の重要な所を見せず、その事件をきっかけに壊れて行く人間関係を丁寧に描く脚本は相変わらず上手い。隠したい妻と犯人探しにこだわる夫。奥さんよりも自分が恥をかかされたと思い復讐に走る旦那は、イランの男性観を描いているのかな。

嫌な空気感の演出などもやっぱり上手い。ただ、物語の展開が物足りない。「別離」のようなあっと驚く展開が欲しかった。
t

tの感想・評価

4.0

このレビューはネタバレを含みます

冒頭、取り壊しに遭うアパートのヒビが象徴するのは夫婦の危機だったか。前半はカット数の多さに戸惑いつつもサスペンスが続く。「ある過去の行方」同様(これしか監督作観てない)、過去の核心的な一点を明示しないまま進む。
焦らされてからの後半種明かし後はほぼギャグで素晴らしかった。好色ジジイの「そそられたから…」という告白の哀切そして死。この辺を丹念に追って行くしつこさ。男の空回りはいけないな…という大事な教訓もありつつ、そこはかとなく漂うバカバカしさが好き。
劇中劇「セールスマンの死」と接続していくので、内容を事前に知っていればより楽しめただろう。
奥さんが満島ひかり似の美人であった