セールスマンの作品情報・感想・評価 - 76ページ目

「セールスマン」に投稿された感想・評価

tomochi

tomochiの感想・評価

4.3
ファルハディ監督はあえて見せないこと、語らないことで緊張感を演出するのが本当に上手いと思う。
他の作品だから比べるべきではないかもしれないけど、「別離」よりは社会的メッセージが弱く、ラストの投げかけも弱かった。
caky

cakyの感想・評価

3.9
修羅場なシーンはひとつもないのに重厚で見入ってしまうファルハディ作品。イランに根底する価値観をそっくりそのまま反映したわけじゃなくとも、その現実に直面したときの「えっ、どうしたらいいの」的揺れを観客にも痛々しく見せつけてくれる。
観ました。
こんなに女性差別が激しいんですよってことなのだと思うんですけど、日本の状況もイランと全然変わらないんですよね。
今年ベスト入り確実。
「別離」からすっかりその世界に魅了されてしまって、今回も行って本当に良かった。

ファルファディ監督作品は…(自分如きが言うのもおこがましいのですが)
昔の日本監督作品のような趣を感じます。

写実的に全てを映し出すのでなく、あえて映さないこと、言葉でその場の表現をさせることで、こちらの想像を掻き立て、考えさせる。

暴力的な表現は控えめで、上品さ奥行きさを感じせる演出、台詞。

それでいてサスペンスもあり、もちろん今回のテーマである、人の心の難しさ、複雑さ、赦し…

イランの国情、女性の扱い、本当にたくさんのものがこれだけの時間できっちり物語として成立し、訴えてくる…

こんな作品なかなかないと自分は思うのです。静かに余韻を残し幕を引く、ファルファディ監督がなぜアーサーミラーの戯曲、舞台を題材として取り入れたのかも心に響きました…
家庭崩壊ものはレボリューショナリーロードが一番好き。(というと、闇があるように見えるかもしれない笑)

今作もすれ違う夫婦の物語。
でもね、この夫婦を見てるとどうしたら良かったのか全然答えが出ないから困る。

夫は妻が襲われたことが憎く、真犯人を探そうと奮闘するが、妻は公にしたくないと拒む。
そのすれ違いが段々と悪い方向へ導いて行く。

でも、夫はただただ妻を守りたかっただけ。
なのに、すれ違う…これは彼のせいではないと思う。
社会がそうさせた。
それをイランにとっては日常だけど、他国からしたら非日常な風景を切り取って表現している。
そういう日常のいろんなところに悪い方向へ向かうタネはあるのだ。

じゃあ、誰が悪いの…。
そんな歯がゆい映画です。
chima

chimaの感想・評価

4.0
2017/06/@ シネマカリテ
観た後から、イランでは強姦を受けた女性の方が罪に問われる場合があり未だそのような男女差別がある、という実情を知った。何故警察に届けなかったのか、近隣に噂話をされた奥さんがいかに肩身を狭く生活しているか…見方が変わってくる。
彼女の消えた浜辺の美しいタラネ・アリドゥスティ

教師のエマッド(シャハブ・ホセイニ)と妻ラナ(タラネ・アリドゥスティ)が暮らす
アパート 幼な子のけたたましい泣声で
幕を開ける 理由は不明だが建物の倒壊の危険があるので避難せよと住人が口々に叫ぶ 一体この国の建造物はどんな造り方を
してるんだと訝しむ 序盤から不穏な空気に包まれる

この夫婦は劇団に所属していて
『セールスマンの死』
の初日上演を間近に控えている中 急遽新居を探さなければならなくなる 劇団員の一人が明日暇ならと空き家のアパートを紹介する ラナとエマッドが部屋を次々と物色してると鍵がかかっていて開かない部屋がある事に気付く それは転居した筈の女性の私物だった
それでも数ヶ月ここで暮らす事を決めたふたりは引越しの準備にかかる
しかし、転居した女性はどうやらいかがわしい職業で訳ありだと後でわかるのだが

ラナがインターホンの相手を確認もせず
ドアを開けてシャワーを浴びる
つい、忙しさにかまけて自分もやってしまう恐れのある事、ほんの些細な過ちだが
後悔しても もう遅い 「あの時あなただと確認していれば」
日常を壊していくのはこんな些細な事なんだとカメラは少し開かれたドアをただ黙って見つめる

隠そうとする妻と警察に通報しようとする夫 傷ついた妻に優しい言葉をかける代わりに「お前が理解できない 夜はそばへ来るな
昼は側にいてくれと言う」
と苛立ちを露わにし暴言を吐く
決して冷たい夫ではないが すれ違うふたり
の心情が切ない
妻の気持ちは分からなくもないが夫はこんな時どんな心境になるのか ひたすら犯人に対して憎悪が肥大して行く
我慢して我慢して日常を過ごして行く夫が自ら犯人捜しに乗り出し 辿り着いた答えが
観客の想像の範疇を超え肩透かしを食らう そこからラストまで途轍もない心理状態に置かれる観客 上質のサスペンスとは正にこれだ!そんな緊張感の中
犯した罪を裁く事はできるのか?
膨れ上がった憎しみは一旦破裂した後
どこへ向かうのだろうか
とことんまで追い詰めて そして隠して
上乗せされた別の罪が生まれるのを
固唾を飲んで息を殺して
目撃するのだ
その後の顚末の行方を案じながら
淡々と粛々と幕が閉じる
つくりこみ方がすごい

旦那が自分本位になってく感じがすごかったなあ!
冒頭の長回しの雄弁さ。被害者と加害者は容易に変わりうるという脚本だがファルバディなので夫婦の不和と気まずい子供が出てくる。
yoheikono

yoheikonoの感想・評価

4.0

このレビューはネタバレを含みます

じゃあ結局どうすればよかったんだ…的な結末作品。今作では住んでいたアパートが崩壊しかけるという自分たちではどうしようもできないポイントから話がスタートするので余計タチが悪い。
こうした事件の被害者は自らの過失を重く受け止める訳だけど、悪いのは加害者ただ一人である。ただし、法律と警察がちゃんとしていればであるが。