セールスマンの作品情報・感想・評価 - 77ページ目

セールスマン2016年製作の映画)

Forushande/The salesman

上映日:2017年06月10日

製作国:

上映時間:123分

3.7

あらすじ

作家アーサー・ミラーの戯曲「セールスマンの死」の舞台に出演中の夫婦。夫は教師をしながら、小さなの劇団で妻とともに俳優としても活動している。 ある日、引っ越ししたばかりの自宅で、夫の留守中に妻が何者かに襲われ、ふたりの穏やかだった生活は一変する。事件を表沙汰にしたくないと警察への通報を拒否する妻の態度に納得できない夫は、自分自身で決着をつけるべくひそかに犯人捜しを続ける。 演劇と犯人探し、夫婦…

作家アーサー・ミラーの戯曲「セールスマンの死」の舞台に出演中の夫婦。夫は教師をしながら、小さなの劇団で妻とともに俳優としても活動している。 ある日、引っ越ししたばかりの自宅で、夫の留守中に妻が何者かに襲われ、ふたりの穏やかだった生活は一変する。事件を表沙汰にしたくないと警察への通報を拒否する妻の態度に納得できない夫は、自分自身で決着をつけるべくひそかに犯人捜しを続ける。 演劇と犯人探し、夫婦の感情のずれがスリリングに絡み合い、やがて物語は思わぬ展開に…。

「セールスマン」に投稿された感想・評価

a2y6a

a2y6aの感想・評価

3.8
アパートが崩れる衝撃のファーストシーンから不運の連鎖が始まり、ノンストップでラストまでいった感じがした。
夫のエマッドは警察に通報したくないという妻の為に犯人を探して事件の収束をしようとした結果が思いがけない方に転がっていくという。劇中劇の『セールスマンの死』とのリンクが面白かった。
それとイランの社会状況と女性への格差がこの映画の根底に流れているように感じた。
Aika

Aikaの感想・評価

4.0
妻に起こった悲劇から夫婦の日常が崩れ落ちていく。

妻のためにという気持ちが、いつのまにか自分の怒りを鎮めるため、恥を拭うための復讐と化していく。
妻はただそばにいて欲しかっただけなのに。

ほんの少しの気持ちのすれ違いや過ちが、気づいたときには取り返しのつかない領域まで達していく。
善良という括りにいるだろう人たちも一歩違えば…という心の闇を抉ってみせるのがファルハディ監督はうまいなぁ。

夫婦が出演する舞台「セールスマンの死」と現実が並行していくのも見事。
最後ふたりの語らずに見せる表情も素晴らしかった。

アカデミー賞外国語映画賞受賞作品。
地味ながら最後まで緊張感漂う極上のサスペンスでした。

149/2017
初ファルハディ。これは犯人は誰か、というミステリー的な主題がメインの話ではない。その筋で言うならば大した意外性はない。では何が主題か。

エマッドとラナ夫妻が引っ越した先のアパートにはその前に「いかがわしい職業」に就いていたという女がいたと説明されるが、この女は話に登場するのみで映画内にはまるで出現せずに実体がない。

エマッド不在時にアパートで襲われるラナだが、エマッドに「(犯人の)顔を見たのか?」と問い詰められた際に、何も答えず無言だったのはなぜか。この無言はどうにも不自然だ。他の質問には答えたのに。

犯人は、エマッドが最初にそう思い込んでいた人物ではなくその人物のとある関係者だとエマッドの詰問で判明するが、その理由にどこか釈然としない、本当らしくない印象がついて回るのはなぜか。確かに自白してはいるし、「証拠」と思しきものもあるが根拠にどうにも説得力がない。もちろん、映画内ではそのものズバリの襲うシーンをフラッシュバックで見せたりなんぞしない。

つまり、何も映っていないし明示されない。確かにラナは頭に怪我をしているのだが、浴室で襲われたがゆえの怪我と言いうる材料がない。事件は本当に起きたのか。あるいは、起きたとしても本当の犯人が誰かが分からない。途中からそればかり考えてしまったんだが、加藤幹郎がヒッチコックの『裏窓』について提起した問題と似たものを感じた。外側のストーリーとされているものそれ自体とその描き方に乖離がある。『裏窓』については純粋に話法・技的なものに還元される話だが(と言うか広げて考えると当時としては過激な問題提起になっているがここでは触れない)、本作については映画内演劇でアーサー・ミラーの『セールスマンの死』が暗示しているように、外形と実質の乖離をこそ描いている気がしてならない。または「真実」とは何か。どう認識されるのか(しかし、そう思えるのは予めこの演劇の内容を知っているからであって、それが分からないと映画のストーリーと演劇の展開のパラレルさが分かりにくいという難点はあるんだが)。

ともあれファルハディ、他作品も観ねばなるまい。
chihi

chihiの感想・評価

3.7
男と女の物の考え方感じ方の違いってあると思うし、それはもうある程度本能的なもので、ズレが生じるのは仕方ないよなぁ、、なんてことを考えた。
男は答えを求めたがる。女はただ寄り添ってくれればいい。みたいなこと「20センチュリーウーマン」で言ってたっけな(うろおぼえ)てなことを思い出したり。
腑に落ちない点もあるけど、それについてもまた自分なりの想像をしてみたり。
夫婦が夫婦役を演じる劇中劇。現実が泥沼になるにつれ、感情溢れる神演技に見えちゃったりする皮肉。
イランという国について考えさせられた。社会的な背景が日本と違うからこそショッキングだった。
Sios

Siosの感想・評価

3.7
時間の経過とともに、妻と夫で感じかたや囚われているものが変化し、ずれていくのが辛い。
事態解決のための行動の空回りをみていて、フラフラに憔悴。

突然の予期せぬ転居から、小さなトラブル、事件へと繋がる。
本業のかたわら夫婦が役者として出演する舞台が並行して進み、役に重なっていく展開は見事。
女性と男性の目線の違いも、重く印象に残りました。

虚弱体質すぎかもなオジサン…?
子供の振り回されぶりがお気の毒。
自分もあのパン屋の青年をひとめ見て何の根拠もなくこいつにちがいないと確信し、あとになって自分がおそろしくなりました。
miha

mihaの感想・評価

3.5
初めてのイラン映画は
私にとっては難しかった💦
色々考えさせられました

まず予備知識ナシで見に行ったもんだから、サスペンスて知らず(そこから!)
ハラハラしっぱなしで
精神的にズーンときて💦
あの決断が正しかったのかどうなのか
判断が難しい
イランの情勢や背景なんかをもっと知ってたら
見方が変わったかも知れないけど…
勉強不足だった。もっと知ってから観るとまた変わると思った。
自分的には、とにかくその撮影手法に驚かされた「人生タクシー」に次ぐ、今年2本目のイラン映画。こちらはオーソドックスな演出で、亀裂の入った夫婦関係を丹念に描いていくサスペンスドラマだ。第89回アカデミー賞の外国語映画賞を受賞した作品だが、トランプ政権のイスラム圏6カ国からの入国制限に抗議して、授賞式への参加を監督のアスガー・ファハルディと主演女優のタラネ・アリドゥスティがボイコットしたことでも話題になった。

アスガー・ファハルディ監督の作品を観るのは、「ある過去の行方」に次いで2本目だが、今回も重厚に人間模様を描き、観る者をじっくりと物語のなかに引き込んでいく。とにかく期待を裏切らない監督のひとりだ。

小さな劇団に所属して、現在はアーサー・ミラーの「セールスマンの死」上演のために日々稽古を積んでいる教師のエマッドと妻のラナ。住まいの建物にひびが入り、あわてて劇団仲間が紹介してくれたアパートに移り住んだふたりだったが、舞台が初日を迎えた夜、ひと足先に帰宅したラナが、その新しい家で暴漢に襲われる。犯人は、娼婦をしていた前の住人がまだこの部屋に住んでいると思い侵入してきたのだった。

夫のエマッドは警察に行って洗いざらいを話して犯人を捕まえようと妻のラナを説得するが、彼女は頑なにそれを拒む。仕方なく、駐車したままになっていた犯人の車を辿って、事件の真相にたどり着こうとするエマッドだったが、劇団仲間に事件が知れるに至って、夫婦の関係は次第に複雑なものとなっていくのだった。

舞台で演じられるアーサー・ミラーの「セールスマンの死」の芝居が、現実の出来事にリンクする形で物語は進んで行く。舞台でのセリフがいつのまにか違う言葉になっていたり、必要以上にテンションが上がったり、タイトルの「セールスマン」もおそらくこの劇中劇に由来している。このあたりはなかなか巧妙なつくりになっている。

作品のなかでははっきりと述べられてはいないが(たぶん国や宗教的事情というものもあるのだろうが)、妻が頑なに警察に行くのを拒むのは、当夜にあった出来事が、レイプに近いものだったからだろう。しかも前のアパートの住人についても、良からぬ商売をしている女性というふうに説明される。日本のイヤミス系の作品ならおよそ考えられない抑制された表現なのだが、それがかえって作品に重みも与えている。

最初は警察に捜査を任せようと言っていた夫のエマッドだったが、自ら犯人捜しを進めていくうちに、その行為に取り憑かれていく。妻との関係も微妙なものとなり、やがて舞台に出ている最中だというのに思い切った大胆な行動に出る。ここに至って事件に対するスタンスは妻とはまったく逆なのものとなる。このあたりの心理の逆転劇もこの作品の真骨頂でもある。

最終的にはアスガー・ファハルディ監督は、自分たちが置かれた現状への思いを、妻の口を借りて言い放っているのだが、これがなかなか重く、ずしりと伝わってくる。同じイラン映画の「人生タクシー」もそうだったが、厳しい政治状況下で表現をしていく人間の切実なメッセージがそこには込められている。観た者が、観賞後にいろいろと思いを巡らせる作品でもあるのだ。もちろん、ドラマとしても二転三転、最後まで息を抜けないサスペンスが続く、優れた作品であることは確かだ。
たけし

たけしの感想・評価

4.4
濃いなー、濃い!とっても濃い。
人間の感情なのか何なのか、人の中と人と人の間にあるものが全て濃い!
濃厚な作品でした。
これは見逃さずに良かった。
主演のあのトランプに楯突いた女優さんはベッピンさんでしたし、俳優さんが皆素晴らしい!
パン屋のお父さんも秀逸でした!
あんな話をこんなに濃くできるって想像できない。
反省は、セールスマンの死を知らずに観に行ったこと。
あらすじだけでも知ってから行くことオススメします。