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ザ・スチューデントのrage30のネタバレレビュー・内容・結末

ザ・スチューデント(2016年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

聖書に傾倒する高校生の話。

聖書にハマり、聖書の教えに反する授業を妨害する主人公。
おそらく両親の離婚時に抱えた怒りや不満を、聖書によって肯定し救われた事で、原理主義的な方向にのめり込んでいっちゃったんでしょうね。
イキった感じで聖書の言葉を引用したり、自分の正義を押し付ける感じは、日本で言う中二病に近いものを感じました。

個人的に面白かったのは、母親との会話かな。
息子はストイックに聖書の教えを守ろうとしているのに、母親はめちゃくちゃ俗っぽい人間で、そのギャップが笑えました。
「勃起は健全」やら「オナニーに夢中な方が安心」など、如何にもオカン的なデリカシーのない発言も面白かったです。

そんな中二病コメディー的な調子で進みつつも、主人公を通して、聖書が持つ保守性や不寛容さを暴き出していくのも興味深い部分。
それ故にリベラルな考えを持つ生物教師と反目する事になるわけですが、なんと主人公側が勝っちゃうんですよね。
どれだけ進歩的で科学的に正しいものであろうが、結局、世の中の大半は保守的で感情的に判断してしまう…という事なのでしょうか。
個人的には聖書を勉強した生物教師が、主人公を論破する展開も見たかったんですけど、これもこれで一つの社会批評と言えるのかもしれません。

ブラックコメディーな作品なので、万人受けはしないと思いますが、同監督の『インフル病みのペトロフ家』よりは分かり易くて、個人的には楽しめました。
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