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ギミー・デンジャーのmanamiのレビュー・感想・評価

ギミー・デンジャー(2016年製作の映画)
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『ちょっと思い出しただけ』でフィーチャーされてたジムジャームッシュ。彼の作品は未経験だったので探してみたらこちらを発見、観てみることに。
パンクバンドthe stoogesの軌跡を描くドキュメンタリー。ポスターにある「鬼才ジム・ジャームッシュから、史上最高のロックンロール・バンド"ザ・ストゥージズ”へのラヴレター」という文言通り、最初から最後まで「推し感」が強烈に伝わってくる。
過去のライブ映像や写真などもあれば、イメージ映像のような演出も多くてそれが出てくるたびになんとも不思議な空気感になる。
そしてメインはインタビュー映像なんだけど、これが面白い。「様々な人物の話を聞いて多角的に捉えるなんて小賢しい」と言わんばかりに、とにかくメンバーが自分たちについて語り続け、ごく近距離内からの視点だけで押しきっている。
私が一番興味深く感じたのは、ジェームズウィリアムスン。ギタリストとしてバンドに加わった後、活動休止によって裏方に転身したことを機に電子工学に目覚めて大学で学び、卒業後はソニーに入社したらしい。さらには長年勤めて重役にまで上り詰めた後、復活を遂げていたザ・ストゥージズに復帰を果たすという、まるで映画のような人生じゃないの。
あと彼に関してとてつもなく気になるのは、インタビューを受けてる場所ね。イギーやアシュトン兄弟はそれなりに雰囲気ある部屋で話してるのに、ジェームズはそっけない無機質な空間にいる。楽屋なのかな?他になかったのかい、せめて洗面台が映り込まないアングルにできなかったのかい。
脱ぎたがりなフロントマンのイギーポップは、2010年にロックの殿堂入りを成し遂げた際のスピーチがかっこいい!
「音楽は人生であり人生は商売ではない」
「ロックを始めたすべての貧乏人たち、お前らもクールだ」
「クールな奴ら全員に感謝する」
私はこのバンドを全く知らなかったし、知らない曲ばかりだったけど、熱くてクールでかっこよくて、最後まで楽しめた。こんなハチャメチャな人たちがメディアに出ることは、今となってはもう不可能だし、彼らのような人々は生き方そのものが今や文化遺産だな。

3(2はTHE FIRST SLAM DUNK 再鑑賞)
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