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ギミー・デンジャーのLATESHOWのレビュー・感想・評価

ギミー・デンジャー(2016年製作の映画)
4.5
ミシガンのトレーラーハウスで育ち
クラスメイト達から家を揺らされ
馬鹿にされていた頃から
ロックの殿堂入りを果たして
壇上からスピーチをする近年まで。

「俺は俺だよ」

最後の言葉が嘘偽りなく
イギーをイギーたらしめるもので、
涙が滲んだ。
他の誰が口にしても嘘臭くなる言葉を、恐るべき「個」として「公」を拒否してきた
イギーだから、涙が滲んだ。

今まで情報が少なくて
どういう人となりだったのか
よくは知らなかった
Stoogesのメンバーの軌跡。
アシュトン兄弟のホワイトトラッシュっぷり。
アル中でクビになりそのまま
27クラブの仲間入りした
デイブ・アレクサンダーが
1stアルバムで貢献したこと。
何故ジェイムズ・ウィリアムソンは
ソニーの重役になっていたのか、
退職後30年ぶりに彼がバンドに復帰した理由は何か。
彼らを再びイギーと結びつけた
あの映画とあの人物。
MC5やジョン・ケイル、ニコ、ボウイ...。
初めて見聞するStoogesの秘話を
ジャームッシュ監督が
殊更ゴシップやらドラッグ禍やら
バンドのダーティーな部分に頼らず
過剰に、または感傷的に演出するでもなく
アナログなコラージュの引用を交え
詩的かつエモーショナルに伝えてくれる。

「俺の頭に瓶を投げたヤツに感謝する。今回は死に損なった、来週またトライしろ」
「ロックは人生だが、人生はビジネスじゃない」

Stoogesは
自分が自分であり続ける為だけに
生きた愚者達だ。
「dirt」という曲がある。
文字通り泥にまみれるのを怖れなかった彼等に
自分はどうしようもなく
惹きつけられたままなのです。
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