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ギミー・デンジャーのblacknessfallのレビュー・感想・評価

ギミー・デンジャー(2016年製作の映画)
4.2
ストゥージス、てか、イギー・ポップは言わずと知れたゴッドファーザー・オブ・パンクなわけだけど、本人達が当時どーゆー意識であのサウンド、パフォーマンス、歌詞なんかを作り出してたのか?パンクスとしてのリスペクトぐらいの温度で好きなおれは今までちゃんと追ったりしてなかったんで、非常に興味深く見れた。

本人はパンクでもないしどこにも属してないと言ってて、それはそのとおりなんだけど、発言の端々にやっぱパンクの定義的なものにこの人が与えた影響はとてつもなく大きいんだな、て感じられるとこがかなりあった。

カウンター・カルチャーの理想を信じていながらもヒッピー・ムーヴメントを評価してなかったり、産業に取り込まれることへの拒否。そして何よりメンタリティーの衝動、混沌を楽曲の中心に据えたとこ!
この辺りが初期パンクの人々にインスピレーションを与え共感を持たれたように思った。
映画でイギーも度々口にしてるMC5も間違いなくパンクの始祖でシステムとの対決姿勢て意味ではストゥージスより遥かに先鋭的で後のアナーコ・パンクバンド、CRASS(好き❤️)やconflict(好きすぎる💕)のやった活動をすでにやってたりする。楽曲も物凄い爆発力あるけどミュージシャン・シップの高さからくる端整な構成美が勝ってしまっててパンクの重要なエレメンツであるロウな感触が薄いんだよね。
世代が後になるにつれストゥージスと比べてMC5の影響が薄くなりがちなのはそのせいだと思う。
とは言えおれはMC5のキック・アウト・ザ・ジャムはストゥージスのどのアルバムより好きだけど笑
話が脱線しすぎたのでイギーに戻すと、おれが一番印象的でかつパンクっぽいなと思ったのは、イギーが自分のことを共産主義者と定義付けてたこと。
政治的な意味あいではなくお互いに得たもの、苦労も平等にわかちあって生きていく者という意味。
レベル・ミュージックの怒りの矛先は搾取や不平等、その怒りの根底にある理想をイギーはしっかり内在化してたんだと確信した!これだけでも観る価値のあるドキュメンタリーだよ。

あとこれ、普通のこのてバンド・ドキュメンタリーに必ず入ってる当時のライヴを見たファンや影響を受けたミュージシャンのコメントやインタビューないんだよね。
そーゆーとこも楽しみの1つなんでちょっとさびしい気もしたけど、結果的に当事者達の思いに集中できたし、話があっちこち飛ばないから観やすかった。だからなくて正解⭕️
これがちょっとカルト的なバンドなら立ち位置とか何故、今このバンドなのか?みたいなとこを分かりやすくするために必須だと思うけど。ストゥージスはそんな説明いらないもんね笑
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