踊る猫

ギミー・デンジャーの踊る猫のレビュー・感想・評価

ギミー・デンジャー(2016年製作の映画)
3.5
ドキュメンタリーとして観ると可もなく不可もなく。ジム・ジャームッシュらしさというものが殆ど伝わって来ない印象を受ける。いや、全体的にオフビートであることは分かるのだけれど、「間」を活かした演出が為されていないから平板に感じられてしまう。イギー・ポップ&ストゥージズの活躍も当時の生々しい映像が挿入されるかと言えば……されないこともないのだがさほど過去に重きを置いていない印象を受ける。イギー・ポップにとっては「今」こそがベストパフォーマンスを発揮出来ている状況なのだということなのだろう。過去を振り返らないイギー・ポップならではの美学をここに見出すことが出来る。フランクな語り口で語るイギーの音楽史は、野生の知性とでも言うべきものをこちらに垣間見せるかのようだ。なかなか侮れない映画……そんな印象を受ける。ただ、劇的なところがもう少し表に出ていればと惜しく思わなくもない。
踊る猫

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