安堵霊タラコフスキー

ルイ14世の死の安堵霊タラコフスキーのレビュー・感想・評価

ルイ14世の死(2016年製作の映画)
2.6
アルベルト・セラ特集で上映し、この機会逃したら次いつ上映されるかわからないなと思いきや2018年5月の劇場公開が決定したらしく虚を突かれた気分になりつつも、やはり上映後の監督らのトークは貴重と判断して鑑賞を決めたのだけど、端的に言えば惜しい作品だった

腐ったレモンの色をした光と暗い影が齎す死の雰囲気やジャン=ピエール・ルオー扮するルイ14世の衰弱していく様子とかは良かったけど、全体として動きも台詞もドブ川の如く緩慢すぎる印象があり、暗い照明も所々絵画的に見えたものの徐々に飽きてきてとにかく見ていくと段々だれていって非常にしんどかった

もしかしたらこういうしんどさも監督の狙いがあってのことかもしれないけど、それでもこれをソクーロフとか生前のダニエル・シュミット等が撮っていたら疲れを覚えつつも美しさに圧倒されるような作品になってたように思うし、実際モレク神や太陽、今宵限りは等々には似たような強烈さを覚えたわけだし、そう考えるともう少しやり様があったのではと勿体無い気持ちになる

不意にカメラを凝視するルイ14世とか目を見張るシーンもいくつかあったから嫌いにはなれないけど、同じくらい強烈な映像がもっとあったら傑作になっていたろうにと、見た後で頭を抱えてしまうくらい惜しい気持ちになって堪らなかった