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ルイ14世の死のncccoのレビュー・感想・評価

ルイ14世の死(2016年製作の映画)
3.5
うーん面白かった。
「太陽王」といわれ豪華絢爛の絶頂を極めたフランス王ルイ14世が左足の壊疽からじわじわと死に至る最期の日々を記録した作品。
薄暗い蝋燭の灯りの中、ベットに横たわった絶対王と側近・侍医たちの不毛なやり取りがひたすらに描かれる。コスプレ感は全くなく、今、まさにここで王の死を共に看取っているような生々しさとリアリティに満ちた画面に圧倒される。

日々、壊疽が広がり黒く腐っていく足を眺めながら、誰もが切断という当たり前の決断をすることができない。足の切断が絶対的な禁忌となるほどに空間に張り詰める王の威厳をジャン=ピエール・レオが見事に体現している。王自身も、自ら確固たるものとした王の絶対性に逆らえず命を落としていく様が観ていて虚しい。

それにしても、足の壊疽が内蔵にまで及び、死に至るってどれだけ惨い死に方か、、王が死ぬやいなや開始される生臭い解剖シーンや、最後の取り巻きの放つセリフがとびきりシュールで、エンディングも秀逸、記憶に残る1本。監督の別の作品も観たい。
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