Omizu

モン・ロワ 愛を巡るそれぞれの理由のOmizuのレビュー・感想・評価

3.7
【第68回カンヌ映画祭 女優賞】
『パリ警視庁 : 未成年保護部隊』で審査員賞を受賞したマイウェン監督作。ヴァンサン・カッセルと情熱的な恋におちる弁護士をエマニュエル・ベルコが演じ女優賞を受賞した。

『パリ警視庁』に続き得体の知れない不思議な作品だなあという印象。よくある話と言えばそうなんだけど、過去と現在のシャッフルの仕方や激しい愛の表現に目が離せなかった。

ヴァンサン・カッセルはめちゃくちゃいい男なんだけど、ぶっちゃけその後の展開が予想できるよね、というくらいの見事なクズっぷり。

白黒はっきりしない、恋人や夫婦だって結局他人だよねという愛の曖昧さ、得体の知れなさを感じる作品。

トニーが精神崩壊していく過程はすごく苦しかったし、それに対してジョルジオが面倒くさいと思うのも少し分かる。アニエスに責任があるというジョルジオの気持ちも分かるし、トニーが不機嫌になるのも分かる。

ジョルジオの視点にたったとき、本当に100%この男が悪いと言えるか?というと言えないと思う。

単純なようで非常に興味深い構造と問いかけを持った作品。
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