きぬきぬ

モン・ロワ 愛を巡るそれぞれの理由のきぬきぬのレビュー・感想・評価

3.4
スキー事故での負傷のリハビリ療養施設で、事故の心因を匂わせながら現在に至る、過去の恋愛を振り返る女性の心理を追うのだけど、確かにセザール女優賞受賞するくたいにエマニュエル・ベルコが良い。
恋に落ち、お互いを良く知ろうともしないまま、恋愛に溺れ、妊娠や生活、男の過去の女などの現実が見え隠れし始めると、楽しいだけの恋愛に亀裂が生じる。その場しのぎの誤魔化しでさえ利かなくなってくる。
ヴァンサン・カッセルは魅力的、優しいけど身勝手でルーズでお調子者的な側面もある。そんな男の魅力にハマってしまい、ずるずるとひきずることになった女の苦悩の方が、運命的な愛に溺れるという部分よりも強い。
エマニュエル・ベルコの姉を気遣う弟役のルイ・ガレルもとても良いのだけど、姉は頑固で弟の忠告なんて聞きやしない。さっさと離婚すれば良かったのに。原題の「mon roi」って直訳すると‘わたしの王様’
横暴な王様(夫)の支配から逃れようとしているようで、いつまでもひきずっているのは彼女の方。しかし、どんなに愛し合った過去があっても、こじれてしまうと敵となってしまう。愛憎の行きつく先は虚しく冷ややか。
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