ブラッド・ピット×ロバート・ゼメキス
がタッグを組んだ正統派のラブストーリー。
第二次大戦中のカサブランカを舞台に描かれる前半は、クラシックかつ耽美な映像に酔いしれながら
スパイもの特有の緊張感が作品を支配する。
ミッション達成のための“かりそめの妻”として出会った女スパイを演じるのは、最新作「たかが世界の終わり」がカンヌ映画祭でグランプリを獲得した
オスカー女優 マリオン・コティヤール。
彼女の“動”と“静”の演技が圧巻。
強気で冷静なスパイが
やがて本当の愛を知り母となる。
そんな穏やかな生活に忍び寄る
運命的な試練…
時を経て移ろいゆく“目”の表情に注目して見てほしい。
スパイの任を終え、“夫”と子供を献身的に愛する…
その眼差しは本物なのか?
その一挙一動を、いつしか“夫”の目線で祈るような思いで見つめるようになる。
スパイという悲しい運命に翻弄されつつ
愛し、時に疑い、そして最後は命をかけて守ろうと
する“純愛”の物語。
カメラワークの一つ一つに心理描写の機微を
感じさせるロバート・ゼメキスの繊細な演出が光る。
ラストシーンでは、期せずして涙が溢れた。
期待を裏切らない感動作だ。