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マリアンヌのmazdaのレビュー・感想・評価

マリアンヌ(2016年製作の映画)
4.0
"仲睦まじい愛し合う夫婦"を演じながら、2人で協力して暗殺を遂行しろというミッションをうけた男女のスパイが本物の愛し合う夫婦になってしまう物語。
とてもベターで王道で、それでいてラストなんてほとんどわかりきってるような展開にも関わらず、何がこんなにも感情をゆさぶるのか。
今作を観たい方は間違っても予告編は絶対観ないこと。予告編でこの物語のとても重要な筋をさらしてしまっていて、間違いなく知らなかった方が面白いだろう。
ただ私は、予告編をみてその終盤の展開がわかっていたにも関わらず、惹かれあい愛し合う前半の2人がそれはもうあまりにもうっとりするほど濃密な美しい愛だから、「ああそういえばそうだった、こういう話なんだった・・・」と知ってしまっていたネタバレを終盤にはいってはじめて思い出すくらい頭の片隅に追いやられていて、それほど彼等の愛は印象的で、完全に心をもっていかれていた。

愛せば愛すほど、相手のことを知りたくなるのに、秘密をもっているからこそより美しくみえてしまうというその事実はなんて残酷なんだろうと思う。
なんでも教えると言われるよりあまり教えてくれない方が気になるし、すぐに明確になるよりも、探っていくうちに知っていく方が楽しいだろう。ただそれは幸せなものだけに限ると思う。
愛してるからこそどんな聞きたくないことでもなんでも知りたいと思うのか、愛してるからこそ知りたくないものは知らないままでいいと思うのか。でも前者の方が本物の愛だと思うのだ。

砂嵐の中で愛し合う2人がとても印象的。そして私のボキャブラリーでは説明できないほどマリオン・コティヤールがただただ美しい。それは男女関係なく、魅惑的な彼女の美貌に騙されてもいいとすら思えてしまう。
自分の命をかけてもいいと思えるほど誰かを愛してみたいと思った。悲しくて涙がでるのではなく、その愛が美しいから涙がでる。
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