キットカットガール

ミッキーのお化け屋敷のキットカットガールのレビュー・感想・評価

ミッキーのお化け屋敷(1933年製作の映画)
4.0
マッドサイエンティスト+館+ミッキー=
面白くないはずがない!

ホラーとサスペンス要素のあるディズニー短編はやはりウキウキする。ドラキュラ城じゃないけれど、こういった設定には心を鷲掴みされる。ハロウィンが近いこの時期に観て良かったなと大いに満足した。

本作で気になったことは2つ。
その1、キャラクターの喜怒哀楽表現の変化。初期のミッキーの短編では”悲しい”, “焦る”, “怒る”云々の表現が毎回ワンパターンで、どのキャラクターも同様の身振り手振りをしていた。しかし、本作では驚くほど自然に、バリエーションに富んだ感情の表出を描き切っていた。動きや表情、汗の出し方一つ一つがとても細かく、努力が伝わってきた。
その2、空間の描き方。『ミッキーの摩天楼狂笑曲』の際にもレビューに記した”アングル”と”構図”、その2つの派生形として本作で著しく成長を感じたのは空間の描き方だった。屋敷に入ったミッキーが階段のような場所で落ちるシーンがあるが、その場面の2Dに捉われない描き方が斬新で興奮した。勿論、今日のアニメーションや映画では一般的なものだが、あの時代ということと今までのミッキーの短編のことを考慮するとかなり画期的に思える。一瞬奥行きや高さが掴めなくなる、奇妙な感覚。ディズニーの向上心の賜物。