アズマロルヴァケル

東京ウィンドオーケストラのアズマロルヴァケルのレビュー・感想・評価

東京ウィンドオーケストラ(2016年製作の映画)
3.3
ゆったり感のある映画

・感想

新宿シネマカリテの特集上映『カリコレ2016』で上映されていた映画で、時々『カリコレ』の上映作品をチェックしたり観賞したりしていたなかで物凄く気になっていた映画でした。

映画は75分という短時間で完結するものの、ホッコリさせられる内容。

まず、なんといっても東京ウインドオーケストラの演奏というよりも橘役の小市慢太郎の顔芸が印象的。前半では殆ど楽団たちにおたふく顔を見せて有名オーケストラだと思って振る舞うんだけど、後半ことの全てが分かると、ムスっとなるのがかなりギャップが大きくて魅力的ではありました。あと、東京ウインドオーケストラが役場の職員たちに演奏するところを樋口が陰で隠れて見守るシーンも秀逸。まるで漫画のようなシーンなのにしかも若干長めに見せるので妙に笑ってしまいました。


敢えて苦言を言うと、演出や台詞回し、そして樋口や東京ウインドオーケストラの面々が全体的にコントのような感じで素直に観やすいんだけど、もう少し東京ウインドオーケストラに深く描いても良かったし、主人公である樋口と上司の田辺が不倫関係になっていた挙げ句、ラストではふたりが破局する下りもいるかいらないかと言われたらいらないかも。田辺が嫌味な上司なのに不倫相手には顔色を変えるところなんかはまあ理解は出来るが、物語としてはふたりが不倫するところはそんなに大きく重要なものじゃないと思った。

とにかく、衝撃的なシーンはなく、地味に絶妙な空気感で物語が進行していく音楽を題材にした映画でした。私としてはまあまあ観れましたが、もうちょい映画が後半で進展してくれたら面白く観れたかなぁと思った。