arch

ヒップスターのarchのレビュー・感想・評価

ヒップスター(2012年製作の映画)
3.0
ドミニク・ボガートのやさぐれた仕草、家族や友人に時々見せる気を許した表情、全てが愛おしい。

芸術家として行き詰まった男は両親との関係に悩み、また芸術表現に悩み、その憂さを闇雲にぶつけてしまう。時には友人を傷つけることにもなる。そんな彼が印象的だった。

ミュージシャン映画といえば、「酒に溺れ、破滅しかける」なんて展開は良くあるし、そこに女性関係やドラッグなんかも加わっていくのがほんと世界中どこのアーティストを映画にしても共通する。だが本作の彼は非常にスケールダウンしたミュージシャンの物語に感じた。小さな町で、小さなコミュニティで、お酒で破滅はするが女もそんなにだし、薬は出てこない。
ある意味健全なミュージシャン映画にも見える。どこか振り切れないのは"家族"というものが作品を描く上で欠かせないもので、彼の映画は多分常に家族を描く映画であり、家族がいる以上破滅しきれないという監督の境界線がそこに引いているからなのだと思う。

「シャン・チー」とのつながりとしては父親と息子の軋轢、そして亡き母親像は共通しているよね
arch

arch