回想シーンでご飯3杯いける

ベトナムの怪しい彼女の回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

ベトナムの怪しい彼女(2015年製作の映画)
4.0
韓国映画「怪しい彼女」のリメイク。中国、日本と来て、このベトナム版が最後発だったこともあり、ずっと観ないまま放置していたのだが、何これ、凄い良いじゃないか!

まず、何と言っても目を引くのが、南国情緒溢れる街の風景と華やかな色彩、それをとらえる美しい映像だ。韓国版や日本版とは明らかに映像の質が違い、とても優雅な気分になる。そう考えると、ガチャガチャしたパケ写のデザインでかなり損をしていると思う。

ストーリーと音楽に各国のお国柄を反映させているのも「怪しい彼女」のお楽しみ要素。このベトナム版では、おばあちゃんの旦那がベトナム戦争で戦死した設定になっていて、現代ベトナムの平和ボケした若者に対するメッセージがさりげなく込められている。それから、おばあちゃんと息子の関係はあまり前面に出ておらず、変わりに孫に対する愛情が色濃く描写されている。この辺りも、戦争の記憶が新しいベトナム故の、次世代に託す希望が反映されているのかもしれない。

そして、他の方はあまり触れていないようだけど、このベトナム版の最大の魅力は、カラッと明るい音楽だ。韓国版や日本版が演歌的な泣きの音楽中心だったのに対して、このベトナム版はアメリカの影響を感じさせるロックやポップスが満載。ちなみに主演のミウ・レはベトナムで人気のポップシンガーでもあり、結果、本作の音楽レベルは、一連のリメイクの中でトップクラスのクオリティになっている。物語の中にはEDMをプレイするDJも登場するし、華やかな映像美と合わせて、とにかくポップで現代的なリメイクに仕上がっている。

さあ、この勢いで、未見の中国版も観てしまおうかな。