君子

十年の君子のレビュー・感想・評価

十年(2015年製作の映画)
3.4
最初に出る『 本故事内容,純属虛構。如有雷同,實屬巧合(=この物語はフィクションです、似てたらそれは偶然です)』の前置きは、大抵の映画やドラマで出される文句だけど、これは「0061 北京より愛をこめて」並の確信犯的なものではないだろうか。2025年の香港を描く短編集の始まりとしての意味を感じ、とても印象的だった。

香港が香港であるってどんなことなんだろう。私の中では変化を恐れない街、というか、変化していくしかない街だっていうイメージがあるけど、そういうことから考え始めるのは的外れかな。

中国大陸に侵されつつある香港「らしさ」を憂うのは簡単だけど、実際にどう行動すれば、それを食い止められるのか。英国の植民地化にしても、日本の侵略にしても、それは他国の支配に対してどうするか・どうあるかが問われてた訳だけど、中国は建前上は身内(というか自国)なわけで……。

映画としては全然好きじゃないけど、いろいろ思うところがあったということは観てよかったってことだと思う。特に最後の短編“本地蛋”(廖啓智主演)は新しき「香港人」にちょっと希望を感じる事ができて安心した。
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