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闇金ウシジマくん ザ・ファイナルのangryaoiのレビュー・感想・評価

5.0
青春映画だった。
映画3作、ドラマ3シーズン通して構築されたウシジマくんの世界をきっちり締めきっていた。鮮やかなゴールテープ。成仏された。
大満足の極上のおしまいでありつつ、後ろ髪も引かれる。まるで、中学を卒業してみんなそれぞれ別の高校に行ってしまうような、死別でも生き別れでもない、ちょっぴり寂しくも、明日に進み、会おうと思えばいつだって会える、そんなウシジマくんたちとの別れだった。泣いた。

みんな高校時代に手に入れた時計ばかりを見て生きていた。新しい時計を手に入れずに生きていた。
そういえばそうだった。
丑嶋、柄崎はもちろん、今までのシリーズに出ていた、茜も戌井も、part2の愛沢をはじめ、今作の顎戸三兄弟も、竹本も。時計は決して止まらず、独自に加速していた。

その時計が動き出したはじまりの瞬間を描くことで、シリーズ全ての彼らの動向の意味合いを深めた。そして、その時計がちょっとカスタマイズされる。
こんな綺麗なシリーズの結末ってある?のかな。

青春時代をただのノスタルジアの美化したものだけで描かない。時計がスタートしてしまったディストピアっぽさもしっかり描く。それがとってもカッコよかった。

そして、勧善懲悪の分かりやすさを持ちつつも、善人の中にある悪意、悪人の中にある善意も真摯に描く。そもそも、二項対立の概念がいちばんの悪だ。弁護士だからって良い人だとは限らない、闇金だからって悪い人とは限らない。青信号だからって、信号無視した車が走ってくることだってあるから、目視することも必要です。ラベリングされたものではなくって、人を見て、生きていきましょうね、って。そんなことを描いてくれるウシジマくんを地方のヤンキーも好きで見てるのは、日本の希望だと思うよ、ああ、もう教科書。

あ〜、最後の「家族ゲーム」カットも超痺れたなぁ。俳優陣もやっぱり豪華。
やー、感動しました、お疲れ様です、ありがたや。
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